乳幼児が注意したい「インフルエンザ脳症」危険なサインや熱性けいれんとの違いを解説

子どもの病気


小さな子どもがインフルエンザにかかると、インフルエンザ脳症が心配になることもあるのではないでしょうか。そこで今回は、インフルエンザ脳症の症状や受診の目安、熱性けいれんや異常行動との違いなどをご紹介します。

インフルエンザ脳症とは?子どもがなるの?

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザに伴って脳の機能に障害が起こる病気です。インフルエンザウイルスが直接脳に入り込むことで起こるのではなく、ウイルスに対する体の免疫反応が過剰になることなどが関係していると考えられています。

発症すると急速に症状が悪化し、命に関わったり、後遺症が残ったりすることもあります。そのため、初期の危険なサインを知っておくことが大切です。

大人が発症することもありますが、子どものほうが多く、特に乳幼児は注意が必要です。ただし発症の確立は低く、インフルエンザにかかったからといって多くの子どもが発症するわけではありません。

インフルエンザ脳症の症状は?すぐに救急車や病院受診が必要な初期サイン

インフルエンザ脳症の主な症状は、意識障害、けいれん、異常な言動や行動です。

具体的には、呼びかけへの反応が悪い、意識がもうろうとしている、意味のわからないことを言うなどの症状がみられます。

インフルエンザ脳症かどうかを、家庭で正確に見分けることはできません。次のような症状がみられた場合は自己判断で様子を見続けず、救急車を呼ぶか、速やかに受診しましょう。夜間や休日は救急病院を受診してください。

すぐに救急車を呼ぶサイン:ただちに治療が必要な状態

  • けいれんが5分以上続いている
  • けいれんを繰り返す
  • けいれんが止まっても意識が戻らない
  • 呼びかけても反応しない
  • 呼吸が苦しそう
  • 顔色や唇の色が悪い

速やかな受診が必要なサイン:脳症の初期症状の可能性がある状態

  • 視線が合わない、反応が鈍い
  • ママやパパがわからない
  • 意味のわからないことを言う
  • 存在しないものが見えると言う
  • 何もないのにおびえたり、怖がったりする
  • 普段とは明らかに違う言動を繰り返す

【見分け方】インフルエンザ脳症と、熱性けいれん、異常行動の違い

インフルエンザにかかった子どもには、脳症以外にも熱性けいれんや一時的な異常行動がみられることがあります。それぞれの一般的な特徴を次にご紹介します。

ただし熱性けいれんや一時的な異常行動は、インフルエンザ脳症の初期にみられる症状と似ていることがあります。症状だけで確実に見分けることはできないため、意識が戻らない、呼びかけへの反応がおかしいなどの異変がある場合は、速やかに病院を受診しましょう。

熱性けいれん

熱性けいれんは発熱に伴って起こるけいれんです。主に生後6ヶ月から5歳頃の子どもに見られます。

突然意識を失い、体を硬くする、手足をガクガクさせる、白目をむくといった症状がみられます。多くは数分で自然に止まり、しばらくすると意識が戻ります。

一方、けいれんが長く続く、短時間に繰り返す、体の片側だけがけいれんする、けいれん後も意識が戻らないといった場合は、熱性けいれん以外の病気も考えられます。

初めてけいれんしたときや、熱性けいれんか判断できないときは、速やかに病院を受診しましょう。

インフルエンザに伴う異常行動

インフルエンザでは、脳症を発症していなくても、次のような普段はしない行動や発言(異常行動)がみられることがあります。

  • 突然走り出す
  • 部屋や家の外に出ようとする
  • ウロウロと歩き回る
  • 意味のわからないことを言う
  • 急に笑う、泣く、怖がる


インフルエンザに伴う異常行動は、小学生から18歳頃までの男性に多く、乳幼児に起こるケースは多くありません。また、抗インフルエンザ薬の服用の有無や種類にかかわらず起こることが報告されています。

一時的な異常行動は、短時間でおさまることが多いです。一方、異常な言動が長く続く、繰り返す、呼びかけへの反応がおかしい、意識が戻らない、けいれんを伴うといった場合は、インフルエンザ脳症などの可能性も考えられます。

インフルエンザ脳症は後遺症が残る?

インフルエンザ脳症は、回復しても次のような後遺症が残る場合があります。

  • 運動機能の障害
  • けいれんやてんかん
  • 言葉や知的発達への影響
  • 視覚や聴覚の障害
  • 行動や性格の変化


ただし、インフルエンザ脳症を発症したすべての子どもに後遺症が残るわけではなく、後遺症なく回復するケースもあります。後遺症の種類や程度は、重症度などによって一人ひとり異なります。

症状に早く気づき、適切な検査や治療に迅速につなげることが重要です。

インフルエンザ脳症は予防できる?

インフルエンザ脳症を確実に予防する方法はありません。しかし脳症はインフルエンザの発症や重症化に伴って起こるため、そもそものインフルエンザの感染を防ぐ・重症化させないことが間接的に脳症のリスクを下げる対策になります。

インフルエンザシーズンは次の対策を行うことが大切です。

インフルエンザワクチンを接種する

インフルエンザワクチンは発症を完全に防ぐものではありませんが、発症する可能性を下げ、重症化を防ぐ効果が期待できます。

例年10月頃から接種が始まり、接種できる年齢や回数はワクチンの種類によって異なるため、かかりつけ医に相談しましょう。

基本的な感染対策を行う

家族で次のような感染対策を心がけましょう。

  • 外出後や食事前に手を洗う
  • こまめに換気する
  • 流行期は混雑した場所への外出をできるだけ控える
  • 家族に症状がある場合は、タオルや食器の共用を避ける
  • 十分な休養とバランスのよい食事を心がける

罹患中、自己判断で薬を使用しない

一部の解熱剤は、インフルエンザに罹患しているときに服用すると、インフルエンザ脳症を重症化させる可能性があります。自己判断で大人用の薬や以前処方された薬を飲ませず、医師や薬剤師に確認しましょう。

子どものインフルエンザの「見守り」のポイント

インフルエンザ脳症は、発熱してから比較的早い時期に発症することが多いため、少なくとも発熱から2日間は、体温だけでなく意識や行動、けいれんの有無なども確認しましょう。

普段どおり会話ができるか、呼びかけに自然に反応するか、時間がたつにつれて言動や反応に変化がないかを確認することが大切です。できるだけ子どものそばで過ごし、気になる変化があれば、始まった時刻やその後の経過を記録しておくと受診時に役立ちます。

ただし、発熱から2日を過ぎれば心配がなくなるとは限りません。一度症状が落ち着いたあとに意識障害やけいれんがあらわれることもあるため、体調が回復するまでは引き続き様子を見守りましょう。

前述の受診サインに当てはまらなくても、「いつもと違う」「何かおかしい」と感じた場合は、早めに医療機関を受診してください。

インフルエンザの相談はオンラインでも

子どもがインフルエンザにかかると、高熱が出たり食欲がなくなったりして、ホームケアや受診のタイミングに迷うこともあるのではないでしょうか。
そんなときは、子どもの医療に特化したアプリ「キッズドクター」が便利です。自宅にいながらスマホで医師の診察を受けることができ、インフルエンザについての相談も可能です。インフルエンザでの受診には一定の条件があるので、詳しくはアプリ内の案内をご確認ください。

監修者について

監修者 | 医師 黒川剛史
日本外科学会認定外科専門医、日本救急医学会認定救急科専門医。2001年神戸大学医学部卒業。西神戸医療センターにて初期研修を修了。兵庫県災害医療センターにて3次救急に従事後2018年よりシンガポールでの日系クリニック勤務。シンガポール国立大学総合診療卒後教育コースにて総合診療研修を行い、現在子供から大人まで初期診療に従事中。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

ホームケア

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