子どもがかかりやすい感染症・病気一覧

子どもの病気


体が未発達だったり、保育園や学校で集団生活を送ったりする子どもだからこそかかりやすい病気や感染症は数多くあります。それぞれの症状やケアの方法を知っておくことでいざという時に適切な対応ができるようにしておきましょう。こちらの記事では子どもがかかりやすい感染症・病気をご紹介します。

子どもがかかりやすい感染症・病気一覧

1. 突発性発疹

突然発熱し、その後全身に発疹が出る病気です。生後6ヶ月〜2歳頃までにかかりやすいといわれています。

症状

突発性発疹の主な症状として下記のようなものがあります。

  • 38℃以上の発熱
  • 熱が下がるのと同時に全身に赤い小さな発疹


下記のような症状が出ることもあります。

  • 食欲不振
  • 下痢
  • まぶた、大泉門の腫れ


まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 熱性けいれん
  • 脳症
  • 脳炎


治療・ケア方法

突発性発疹の原因ウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。発熱に対して解熱剤が処方されたり、鼻水や咳に対して症状を和らげる薬が処方されたりすることがあります。
高い熱が出るため、脱水にならないようこまめな水分補給を心がけましょう。

2.熱性けいれん

発熱が引き金となって起こるけいれんです。突然症状が現れて驚いてしまうママ・パパも多いですが、小さな子どもには起こりやすく、ほとんどの場合予後が良好なので、落ち着いて対応しましょう。

症状

熱性けいれんの主な症状は下記のようなものがあります。

  • 突然意識がなくなり白目をむく
  • 体が反り返ってビクビクする
  • 手足をガクガクふるわせる
  • 顔色が悪くなる

これらの症状は、熱が上がる時に現れるのが特徴です。ほとんどの場合、5分以内に自然とおさまります

治療・ケア方法

けいれんの後に嘔吐する場合があるので、横向きに寝かせて息が詰まらないようにします。
初めてけいれんを起こした場合は、熱性けいれんかどうか確かめるためにも症状が落ち着き次第早めに病院で受診しましょう。可能であればけいれんが続いた時間やけいれん中の様子などを覚えておくと受診時に役立ちます。

3.急性中耳炎

風邪の合併症として起こりやすい耳の病気です。喉や鼻についた細菌が耳の鼓膜の内側にある中耳で炎症を起こします。

症状

急性中耳炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 耳のズキズキとした痛み
  • 耳のつまり
  • 耳だれ
  • 発熱


赤ちゃんの場合下記のような症状によって急性中耳炎に気づくことがあります。

  • しきりに耳を触る
  • 耳の痛みやつまりによる不機嫌


予防方法

風邪を引いたときなどにこまめに鼻水を吸い出してあげることで、発症の予防につながります

治療・ケア方法

こまめに鼻水を吸い、鼻の通りを良くするようにしましょう。耳が痛い時は、冷たいタオルなどで冷やすことで痛みが和らぎます。
症状によっては抗菌薬が処方されることがあります。まれにですが、膿が溜まり痛みが強い場合には鼓膜を切って膿を出すことがあります。

4.急性気管支炎

多くの場合、風邪やインフルエンザをこじらせて起こる気管支の炎症です。

症状

急性気管支炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 激しい咳
  • 発熱
  • 呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がする


気管支の奥で枝分かれしている細気管支まで炎症が及ぶと「細気管支炎」になります。通常は数日で軽快しますが、悪化すると入院が必要になることもあるので、こじらせないように注意しましょう。

治療・ケア方法

特別な治療法はなく、症状に応じて解熱剤や痰を出しやすくする薬が処方されます。悪化を防ぐために、風邪などをひいた場合は安静にさせ、水分をしっかり摂取しましょう。
呼吸困難になった場合は入院が必要になることもあるので、呼吸が苦しそうなときは早めに受診してください

5.溶連菌感染症

溶血性連鎖球菌という細菌に感染することによって喉の痛みや高熱、発疹などが現れる感染症です。6〜12歳頃にかかることが多いといわれています。

症状

溶連菌感染症の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 38℃以上の発熱
  • 喉の腫れ、痛み
  • 全身に赤くて細かい発疹があらわれる
  • 舌が赤くなりブツブツができる(いちご舌)


回復時に下記のような症状が見られることがあります。

  • 手や足の指先から皮がめくれる(しょう紅熱)


まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 中耳炎
  • 副鼻腔炎
  • リンパ節炎
  • 急性腎炎
  • リウマチ熱


治療・ケア方法

抗生剤を服用します。合併症を防ぐために、症状がおさまっても処方された分をすべて飲み切ることが大切です。喉が腫れて食べづらいときは無理に食べさせる必要はありませんが、水分補給はしっかり行いましょう。

6.手足口病

その名の通り手や足、口の中に水疱性の発疹が出る感染症です。4歳くらいまでの幼児を中心に、夏に流行のピークを迎えることが多いです。

症状

手足口病の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 口の中、手のひら、足の裏や甲に小さな水疱性の発疹ができる(肘や膝、おしりなどにも発疹が出現することもある)
  • 口の中が痛み、食べたり飲んだりできない
  • 37〜38℃の発熱


まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 髄膜炎
  • 小脳失調症
  • 脳炎
  • 心筋炎


治療・ケア方法

特定の治療方法はなく、発熱に解熱剤が処方されるなど対症療法を行いながら回復を待ちます。口内に発疹が出るため、刺激にならないような薄味で食べやすい食べ物を摂るのが良いでしょう。
また看病するママ・パパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

7.ヘルパンギーナ

毎年6〜7月頃に流行する夏風邪として代表的な感染症です。急な高熱と口内や喉の奥の発疹と痛みが特徴です。

症状

ヘルパンギーナの主な症状には下記のようなものがあります。

  • 38℃以上の急な発熱
  • 口内や喉の奥に水疱性の発疹ができる
  • 喉や口腔内の痛み
  • 食欲不振
  • 全身のだるさ


口内の痛みによって下記の症状が引き起こされることがあります。

  • 水分を摂取できないことによる脱水症


治療・ケア方法

ウイルスへの特効薬はなく、熱や喉の痛みに対して解熱剤や鎮痛薬が処方されることがあります。喉の痛みで食事を摂りにくいことがあるので、口当たりの良い柔らかいものを摂るのが良いでしょう。脱水症にならないようこまめな水分補給を意識します。
また看病するママやパパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

8.咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスにより引き起こされる結膜炎の一種です。目の症状以外に39℃以上の高熱や喉の痛みがあるのが特徴です。プールの水やタオルの共用などでうつることがあるため「プール熱」と呼ばれます。

症状

咽頭結膜炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 39℃以上の発熱
  • 喉の腫れ、痛み
  • 目の充血
  • 目やに
  • 目の痛み、かゆみ
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • リンパ節の腫れ、痛み


治療・ケア方法

咽頭結膜炎の特効薬はありません。発熱に対して解熱剤、眼の症状に対して目薬が処方されることがあります。喉の痛みがあるので、口当たりの良い食事を摂るようにしましょう。また高い熱で体の水分が奪われて脱水症にならないよう、水分補給をこまめにしましょう。目やにが出ている場合は濡らして絞ったガーゼなどで優しく拭き取ります。

症状が治った後も数週間便の中にウイルスが排出されています。看病するママやパパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

9.流行性角結膜炎(はやり目)

アデノウイルスにより引き起こされる結膜炎の一種です。感染力が強く、短期間で感染が広がりやすいことから「はやり目」とも呼ばれます。1〜5歳の子どもを中心に夏に流行が見られます。

症状

流行性角結膜炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 目の充血
  • 目やに
  • まぶたの腫れ
  • 目の周辺やあごの下のリンパ節の腫れ


治療・ケア方法

充血の改善や最近との混合感染を防ぐために目薬が処方されることがあります。目やにが出る場合は濡らしたガーゼやウェットティッシュで綺麗に拭き取り、感染の拡がりを防ぐためすぐに捨てるようにしましょう。ウイルスは熱に弱いため、使った食器やタオルは煮沸消毒するのがおすすめです。

また看病するママやパパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

10.ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス感染症)

ウイルスが体内に入ることによって嘔吐や下痢が起こる胃腸炎です。ノロウイルスが原因となることが多く、主に冬に流行します。

症状

ウイルス性胃腸炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 急激な嘔吐
  • 下痢

強い嘔吐症状は1〜2日、下痢は1週間程度で落ち着きます。発熱することもあります。

治療・ケア方法

特効薬はありませんが、症状に応じて整腸剤が処方されることがあります。嘔吐や下痢によって水分が奪われやすいので、経口補水液やベビー用のイオン飲料などでこまめに水分補給を行うことが大切です。水分を与えても吐いてしまい半日以上水分が摂れなかったり、口や舌が乾いて泣いても涙が出ないなどの症状がある時はすぐに受診しましょう。

看病するママ、パパへの感染を予防するために、使った食器などは分けてすぐに洗い、塩素系消毒液(薄めたキッチンハイター、ブリーチなど)で消毒します。おむつ交換の際は交換後の手洗い、消毒を徹底します。嘔吐物を処理する時は使い捨てのマスクや手袋を使用し、塩素系消毒液でしっかり拭き取りましょう。

11.RSウイルス感染症

2歳までの子どものほとんどが1度は感染すると言われている感染症です。風邪のような症状の感染症ですが、生後6ヶ月未満の赤ちゃんや持病がある人の場合は重症化するリスクがあるため注意が必要です。

症状

RSウイルス感染症の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 発熱
  • 鼻水


生後6ヶ月未満の赤ちゃんや持病のある子どもは重症化して下記のような合併症を起こすリスクが高いといわれてます。

  • 気管支炎
  • 肺炎


予防方法

現在一般的な子ども向けのワクチンはありませんが、厚生労働省が妊婦向けのワクチンの承認を進めています。接種することで生まれてくる子どもがRSウイルスにかかった時の重症化を防ぐことが期待されています。

治療・ケア方法

一般的な風邪のときと同じで、安静にして療養するのが基本です。前述の通り小さな子どもなどは合併症を引き起こすリスクが高いため、症状がひどい場合には入院して治療が行われることもあります。

12.インフルエンザ

毎年冬から春にかけて流行する、全身に強い症状が出る感染症です。子どもだけでなく大人も感染しやすいので注意しましょう。

症状

インフルエンザの主な症状には下記のようなものがあります。

  • 38℃以上の急な発熱
  • 鼻水
  • 喉の痛み
  • 頭痛
  • 筋肉痛、関節痛
  • 倦怠感


ウイルスの種類によっては下記のような症状が出ることがあります。

  • 腹痛
  • 下痢、嘔吐


乳幼児の場合、長引くとまれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 中耳炎
  • 熱性けいれん
  • インフルエンザ脳症


予防方法

生後6ヶ月以降であれば予防接種を受けることができます。予防接種を受けるとインフルエンザにかかりにくくなり、かかってしまっても重症化するリスクを軽くすることが期待できます。予防接種を受けられない小さな赤ちゃんがいる場合は、ママ・パパが予防接種を受けて赤ちゃんにうつらないようにするという方法もあります。

治療・ケア方法

医師が必要と認めた場合には、抗インフルエンザ薬が処方されます。高い熱が出るので脱水にならないよう水分補給をこまめにするようにしましょう。

13.伝染性紅斑(リンゴ病)

両頬がリンゴのように赤くなるので「リンゴ病」と呼ばれています。両頬以外に手足にもレース状の発疹が出ることがあります。

症状

リンゴ病の主な症状は下記のようなものがあります。

  • 両頬に発疹ができ、りんごのように赤くなる
  • 発疹が手足にレース状に広がる


発疹が出る頃はほとんど治りかけで、頬が赤くなる1週間〜10日前に下記のような症状が出ることがあります。

  • 風邪の諸症状(微熱、鼻水、咳、倦怠感など)
  • 筋肉痛
  • 関節痛


治療・ケア方法

頬が赤くなったり発疹が出たりしてリンゴ病と診断される頃には感染力がすでにないため、特に治療の必要はありません。頬や手足の痒みが強い場合には、塗り薬が処方されることがあります。痒みがある時は、日に当たったり、お風呂に入るなど体温が上がることは避けた方が良いでしょう。

妊婦さんがリンゴ病に感染した場合、胎児に感染するおそれがあるため、ママが妊娠中の家庭では、食器の共有はしない、手洗い・うがいを徹底するなど、感染予防を特に徹底しましょう

14.とびひ(伝染性膿痂疹)

虫刺されやあせも、湿疹などを掻いてできた傷に細菌が感染することで起こる感染症です。

症状

とびひの主な症状は下記のようなものがあります。

  • 赤み、かゆみを伴う水ぶくれ
  • 水ぶくれが破れたことによるただれ


治療・ケア方法

感染力が非常に強いため、水ぶくれが広がる前に早めに受診するようにしましょう。抗菌薬入りの塗り薬や痒みを抑える飲み薬が処方されます。患部は洗って消毒し、ガーゼと防水テープで覆ってとびひの広がりや感染を防ぎます。

15.水痘(水ぼうそう)

痒みの強い赤い発疹が全身に広がる感染症です。感染力が強く、空気感染もするので注意が必要です。

症状

水痘の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 痒みを伴う発疹・水ぶくれが全身に広がる
  • 発熱(ないこともある)

発疹は皮膚が赤くなる状態から始まり、水ぶくれになり、かさぶたへと状態が変化していきます。

発疹が出る1〜2日前に下記のような症状が出ることがあります。

  • 軽度の発熱
  • 倦怠感
  • 食欲不振


予防方法

1〜3歳の間で2回予防接種を受けることで発症や重症化を防ぐことができます。

治療・ケア方法

発疹が出て48時間以内であれば、抗ウイルス薬の服用で症状を軽くすることが期待できます。痒みを抑える飲み薬や塗り薬が処方されることもあります。発疹を掻きこわすと傷口から細菌が入って二次感染を起こすので注意が必要です。

お風呂であたたまりすぎると痒みが強くなるのでぬるま湯かシャワーで体は優しく洗うようにしましょう。口の中に発疹がある時は噛まずに飲み込める食べ物を摂ります。酸っぱい飲み物は避けてこまめに水分補給をしましょう。

16.流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

頬や顎の下の痛みを伴う腫れが特徴的な感染症です。3〜6歳でかかることが多いといわれています。

症状

流行性耳下腺の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 耳の下(耳下腺)、あごの下(顎下腺)、舌の下(舌下腺)の腫れ
  • 耳の痛みや違和感
  • 風邪の諸症状(発熱、頭痛、咳、喉の痛みなど)
  • 食欲不振
  • 筋肉痛


まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 無菌性髄膜炎
  • 精巣炎
  • 卵巣炎
  • 難聴
  • 膵炎


予防方法

予防接種を受けることで感染リスクを低くすることができます。接種は任意ですが、就学前までに2回受けることが推奨されています。

治療・ケア方法

特効薬はありませんが、症状に応じて解熱剤や鎮痛剤が処方されることがあります。頬や顎が痛む時は冷やすことで痛みが和らぐことがあります。

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子どもと感染症は切っても切れない関係です。ちょっとした変化や不調が気になった時、しんどそうな子どもを病院に連れて行くべきなのか、連れて行った時に他の感染症がうつってしまわないかなど心配になりますよね。オンライン診療が受けられる「キッズドクター」なら、自宅から医師の診察を受け、医師が必要と判断した場合は薬も処方してもらえます。困ったときは検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 三宅 優一郎
日本外科学会認定外科専門医、日本小児外科学会認定小児外科専門医。初期研修終了後、順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科に入局。大学病院やこども病院で研修。カナダで横隔膜ヘルニアの胎児治療の研究にも従事。専門は小児外科疾患。2児の父。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献