熱性けいれんは予防できるの?

子どもの病気


突然意識がなくなったり、手足をガクガクふるわせたりする熱性けいれん。できるなら予防してあげたいと思うママ・パパも多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、熱性けいれんの予防方法などをご紹介します。

熱性けいれんとは?

熱性けいれんとは、一般的に38℃以上の発熱に伴って起こる乳幼児特有のけいれんのことです。子どもの脳は発達途中なため、急に熱が上がると体温の変化に対応しきれずけいれんが起こることがあります。熱性けいれんでは、主に下記のような症状があらわれます。

  • 突然意識がなくなり白目をむく
  • 体が反り返ってビクビクする
  • 手足をガクガクふるわせる
  • 顔色が悪くなる
  • 名前を呼んでも反応がない など


けいれんが起こるとびっくりするかと思いますが、5分以内に自然とおさまることがほとんどです。また熱性けいれんが起こるのは生後6ヶ月から5歳頃までといわれており、けいれんを何度も経験している子どもでも小学校低学年ごろまでには起こらなくなります。

熱性けいれんは予防できるの?

完全に予防するのは難しいですが、熱性けいれんを起こりにくくすることはできます。ただし熱性けいれんで後遺症が残ることはほとんどない、約3分の2の子どもは1回しか発症しないといった理由から、必ずしも予防する必要はないとされています。

熱性けいれんの予防方法

熱性けいれんの予防には抗けいれん薬を使用します。熱の上がり始めに抗けいれん薬を使用することで熱性けいれんの再発を予防する効果が期待できるとされています。

なお、解熱剤を熱性けいれんの予防のために使用することは推奨されていません。解熱剤が熱性けいれんの再発予防に効果があるとの根拠はないためです。ただし発熱でつらそうなときに、症状を和らげるために、用量用法を守って解熱剤を使うのは問題ないとされています。

熱性けいれんの予防対象

先述のとおり、熱性けいれんは必ずしも予防しなくてはいけない病気ではありません。「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」では、抗けいれん薬の副作用やけいれんの重症化のリスクなどを考えて、基本的には下記の(1)または(2)に当てはまる子どもを予防対象としています。

(1)けいれんが15分以上持続したことがある
(2)次の項目を2つ以上満たす熱性けいれんが2回以上起こった場合

  1. 焦点発作(体の片側や一部分に強くあらわれる発作)または24時間以内にくり返す発作がある
  2. 熱性けいれんが起こる前から神経学的異常や発達の遅れがある
  3. 熱性けいれんまたは、てんかんの家族歴がある
  4. 生後12ヶ月未満で熱性けいれんを起こした
  5. 発熱後1時間未満でけいれん発作を起こした
  6. 38℃未満でけいれん発作を起こした


熱性けいれん予防薬「ダイアップ」とは?

「ダイアップ」はジアゼパムを主成分とする抗けいれん薬で、前述の熱性けいれんの予防が推奨される子どもに対して使われます。副作用として、一時的な眠気、ふらつき、興奮状態がみられることがあるため、医師の指示に従い用法用量を守って使用することが大切です。一般的に最後に熱性けいれんを起こしてから1~2年間、または4〜5歳まで投与を行うことが推奨されています。

子どもの病気に関する相談はオンラインでも

子どもは体調を崩しやすいので、熱性けいれんに限らず不安になることはあるかと思います。そんなときは、子どもの医療に特化したアプリ「キッズドクター」が便利です。看護師に個別チャットで相談したり、自宅にいながらビデオ通話で医師のオンライン診療を受けたりすることができますよ。困ったときは利用を検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 黒川 剛史
日本外科学会認定外科専門医、日本救急医学会認定救急科専門医。2001年神戸大学医学部卒業。西神戸医療センターにて初期研修を修了。兵庫県災害医療センターにて3次救急に従事後2018年よりシンガポールでの日系クリニック勤務。シンガポール国立大学総合診療卒後教育コースにて総合診療研修を行い、現在子供から大人まで初期診療に従事中。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

ホームケア