子どもの薬疹とは?原因や対処法、治療方法

子どもの病気


「薬疹」と呼ばれる、薬の服用がきっかけで出る発疹をご存知でしょうか。子どもでも発症することがあるため、疑われる症状がみられたら早めに受診することが大切です。この記事では子どもの薬疹について、原因や対処法、治療方法などをご紹介します。

薬疹とは?原因は?

薬疹とは、飲み薬や塗り薬、吸入薬、注射などがきっかけで起こる発疹のことです。薬疹の多くは、摂取した薬に対するアレルギー反応が原因で起こります。薬の副作用や過剰摂取によって発疹が出ることもありますが、薬疹とは仕組みが異なります。

薬疹の原因になりやすい薬の種類として、解熱鎮痛剤や抗生剤、抗炎症剤、降圧剤などがあげられます。ただし、これら以外の薬でも薬疹の原因となる可能性はあります。

薬疹の症状は?

薬疹の主な症状は全身にあらわれる赤みやブツブツで、痒みを伴うことが多いです。じんましんのように膨らんだ発疹がみられることもあります。

重症化すると発疹が水ぶくれ(水疱)になったり、広い範囲の皮膚がむけたりすることがあります。まれですが、呼吸困難や肝臓・腎臓の機能低下など、全身に及ぶ重症の症状が出ることもあります。

子どもに薬疹が出たらどうする?

子どもが薬を服用してすぐに発疹が出たとしても、必ずしも薬疹とは限りません。薬を処方された元の病気が原因で発疹が出ている可能性もあるからです。

一般的に薬疹は初めて使う薬によって起こることが多く、服用後1〜2週間ほどしてから発症する傾向があります。そのため「薬の服用を始めてしばらくしてから発疹が出た」「薬を中止したら症状が改善した」といった場合には、薬疹の可能性が高くなります。

ただし薬疹かどうか正しく診断するためには、検査や診察を行う必要があります。次の受診目安を参考に医療機関を受診してくださいね。

薬疹が出たときの受診目安

薬疹と思われる症状が出たら全身をよく観察して、発疹以外の症状がないか確認してください。症状が発疹のみで子どもがいつもと変わらず元気であれば、診療時間内に受診しましょう。

次のような症状がみられる場合は、早急に受診してください。夜間や休日は救急外来を受診しましょう。

早急に受診する症状

  • 発疹が短時間で広がっている
  • 目や目の周り、唇の赤みが強い
  • 腹痛や嘔吐している
  • 痒みや痛みが強い
  • 紫や黒っぽい色の発疹が多発している


発疹とともに下記のような症状があらわれた場合は救急車を呼ぶようにしましょう。

救急車を呼ぶ症状

  • 呼吸が苦しそう
  • ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする
  • 顔色が悪い、唇の色が紫色になる
  • ぐったりしている
  • 口の中や舌が急に腫れてきた など


受診の際には、服用中の薬の名前や使い始めた時期、最初に発疹がでたタイミング、症状が出たときの様子などをできるだけ正確に伝えると、診察がスムーズです。

子どもの薬疹の治療方法は?

薬疹の治療では、まず原因となっている薬を特定することが大切です。症状のあらわれた時期や程度をもとにさまざまな検査を行い、どの薬が薬疹を引き起こしているかを判断します。
原因となった薬がわかったら、すぐにその薬の使用を中止します。その後、症状に応じて塗り薬や飲み薬が処方されます。

呼吸困難や広範囲の皮膚症状など重症の場合は、入院して治療することもあります。

薬疹の家庭でできる対処法は?

薬疹によって発疹が出たときは前述のように医療機関を受診したうえで、家庭で次の対処法を行うといいでしょう。

原因となった薬は一切使わない

検査や診察で薬疹の原因が特定された場合は、その薬を二度と使用しないようにしてください。発疹の症状が落ち着いても、再び使うのはやめましょう。

病院で薬を処方してもらう際は、必ず過去に薬疹を起こしたこととその薬の名前を伝えて、別の薬を処方してもらうようにしましょう。

冷やす

薬疹による痒みや発疹が強いときは、冷やすことで症状が和らぐことがあります。冷水で濡らしたタオルやハンカチに包んだ保冷剤などを当てて患部を冷やしてあげましょう。ただし子どもが嫌がる場合は無理に冷やす必要はありません。

治療のために処方された薬を使う

冷やすのを嫌がる、冷やしても赤みや痒みが引かないといった場合は、医師から処方された塗り薬を用法・用量を守って使いましょう。

市販薬や以前もらった薬を自己判断で使用するのは避けてください。かえって症状を悪化させるおそれがあります。

体をあたため過ぎないようにする

体をあたためると血の巡りがよくなり、発疹が悪化することがあります。お風呂はぬるめのシャワーで手早く済ませ、湯船につかるのは控えましょう。お風呂あがりはすぐに布団に入らず、火照りを冷ましてから寝かせるようにしましょう。激しい運動も避け、安静に過ごすことが大切です。

発疹の相談はオンラインでも

薬の服用中に子どもに発疹があらわれると、「薬疹かも?」と不安になることもあるかもしれません。とはいえ薬が原因かどうか判断がつかない場合や子どもがいつも通り元気なときは、受診すべきか迷うこともありますよね。
そんなときはオンライン診療アプリ「キッズドクター」が便利です。看護師と個別チャットでやりとりでき、受診の目安や対処法などのアドバイスをもらえます。自宅にいながらスマホで医師のオンライン診療を受診することもできるので、困ったときは検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 武田桃子
日本小児科学会認定小児科専門医。2013年に昭和大学医学部を卒業後、都内大学病院に勤務。現在は育休中。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

ホームケア