子どもが胸を痛がる…病気なの?受診の目安は?

子どもの病気


子どもが胸を痛がると、「もしかすると心臓の病気なのでは…」と不安になることもあるかと思います。そこでこの記事では、子どもが胸を痛がるときに考えられる原因や受診の目安などをご説明します。

子どもが胸を痛がる…病気なの?

子どもが胸の痛みを訴えても、実際には病気が原因でないことがほとんどです。特に心臓の病気によるものはごく稀です。
多くの場合は胸のまわりの筋肉や骨の影響、ストレスなど心理的な要因によるもので、発熱や息苦しさ、めまい、動悸といった症状が同時にみられなければ過度に心配する必要はありません。

子どもが胸を痛がるときに考えられる原因は?

ここでは、子どもが胸を痛がるときに考えられる原因をより詳しくご紹介します。後述するように病気が原因で起こることもありますが、頻度は低いです。

筋肉や骨の炎症

子どもの胸の痛みの原因で多いのが、胸部の筋肉や肋骨の間の筋肉、肋骨の炎症によるものです。激しい運動や不自然な姿勢がきっかけに起こることが多いです。また外傷(転んだ、ぶつけた)によって起こることもあります。
こういった原因の場合、体をひねる動きや前屈など特定の動作をしたとき、胸の表面を触ったり押したりしたときに痛みが出るのが特徴です。痛みには個人差がありますが、刺すような痛みを感じることが多いです。

神経痛

普段の体の使い方や姿勢の癖によって胸の神経が圧迫されると、痛みが起こることがあります。ズキズキやチクチクといった痛みを感じやすいです。

心の不調

胸が痛むのに身体的な原因が見つからないときは、心理的な要因が関わっていることも考えられます。環境の変化や人間関係などのストレス、過度なプレッシャーなどが原因で胸が痛むこともあります。

特発性(原因がわからない)

身体的な原因も精神的な原因もないのに、胸を痛がることもあります。小さい子どもは痛む部位や痛みの程度・頻度などをうまく伝えられないことも多く、原因がはっきりしないことも珍しくありません。
その一例として、突然胸の左側に鋭い刺すような痛みが生じる「前胸部キャッチ症候群」があります。一般的に6〜12歳頃の子どもに起こることが多く、痛みは数十秒から数分でおさまります。

気管支や肺の炎症

喘息が起こると気管支が狭くなって息苦しくなり、胸に締め付けられるような痛みが生じることがあります。また風邪をひいた後に肺や気管支が炎症を起こし、胸の痛みを訴えることもあります。どちらの場合も、咳を伴うのが特徴です。

逆流性食道炎

逆流性食道炎で胃酸が逆流すると、胸が焼けるような感じやつかえる感じがして痛みを訴えることがあります。子どもが逆流性食道炎になる頻度は高くはありませんが、食物不耐症や食物アレルギー、消化管の異常、カフェインやタバコの煙にさらされた場合などに起こることがあります。

心臓の病気

非常に稀ですが、心臓の病気によって子どもが胸を痛がることもあります。もともと心臓に疾患を持っている場合や家族に若くして心臓病を発症した人がいる場合などは、そうでない子どもに比べて心臓の病気によって胸の痛みを訴える可能性が高くなります。

子どもが胸を痛がるときの観察のポイント

子どもが胸を痛がるときは、次のポイントに気をつけて様子を観察するようにしましょう。

  • 胸のどこを痛がっているか
  • 痛みは強いか、弱いか
  • チクチクした痛みか、ズキズキした痛みか
  • 痛みは続くか、一時的か
  • 胸を押すと痛いか
  • どんなときに痛むか
  • 胸の痛み以外の症状はあるか
  • 以前にも同じような痛みを経験しているか など


上記のポイントをチェックすると、先にご紹介した原因のどれに該当するかがわかりやすくなります。

子どもが胸を痛がるときの受診の目安は?

子どもの胸痛で考えられる原因が心臓の病気以外であれば、基本的に緊急性は高くないため、時間外などに急いで受診する必要はありません。ただし少しでも不安なことがあれば、診療時間内にかかりつけの小児科を受診するといいでしょう。

胸の痛みとともに以下のような症状がみられる場合は心臓の病気の可能性があり、症状によっては救急外来を含めた早急な受診が必要です。

胸の痛みですぐに受診する症状
(夜間・休日は救急外来を受診)

  • 意識を失ったり、めまいを起こしたりしている
  • 痛みが非常に強く、長く続いている


胸の痛みでできるだけ早く受診する症状

  • 運動をしているときに痛みが起こり、休憩すると楽になる
  • 動悸や息切れ、冷や汗の症状が伴う
  • 家族の中に若年で心臓病を患った人がいる

胸の痛みの相談はオンラインでも

腹痛や頭痛に比べると子どもが胸を痛がることはそれほど多くありませんが、だからこそ胸痛を訴えると心配になりますよね。多くの場合は病気以外の原因によって起こるため、わざわざ病院へ行くべきか悩むこともあるかと思います。
そんなときは、子どもの医療に特化したアプリ「キッズドクター」が便利です。自宅にいながらスマホで医師のオンライン診療を受診したり、チャットで看護師に相談したりすることができます。困ったときはぜひ検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 三宅優一郎
日本外科学会認定外科専門医、日本小児外科学会認定小児外科専門医。初期研修終了後、順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科に入局。大学病院やこども病院で研修。カナダで横隔膜ヘルニアの胎児治療の研究にも従事。専門は小児外科疾患。2児の父。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

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