子どもの熱せん妄とは?対処法や受診の目安、何歳まで繰り返すのかなど

子どもの病気


子どもが高熱を出したら誰にでも起こる可能性がある「熱せん妄(ねつせんもう)」。熱せん妄を起こしたときはどうしたらいいのでしょうか?この記事では、子どもが熱せん妄を起こしたときの対処法や受診の目安などをご紹介します。

子どもの熱せん妄とは?なぜ起こる?

熱せん妄とは、高熱に伴って起こる異常行動のことです。はっきりとした原因はわかっていませんが、高熱により脳内のホルモンバランスが崩れることで起こると考えられています。基本的には短時間で自然におさまり、後遺症が残ったり危険な状態になったりすることはほとんどありません。

子どもの熱せん妄は何歳まで?起こりやすい年齢は?

熱せん妄は1~10歳頃までの子どもで起こることが多く、特に起こりやすい年齢は1~4歳です。成長するにつれて神経系が発達して高熱を出す機会も少なくなるので、中高生以上の子どもではあまり起こらないとされています。

子どもの熱せん妄の症状は?

子どもの熱せん妄では、主に下記のような症状があらわれます。

  • 意味不明なことを言う
  • 幻覚や幻聴があり、怖がったり笑い出したりする
  • 食べ物ではないものを口に入れようとする
  • 急に部屋の中を歩き回る
  • 窓を開けて外に出ようとする   など


熱せん妄の症状は、脳症の初期症状とよく似ていて区別がつきにくいことがあります。はっきりした違いがあるわけではありませんが、脳症の場合は異常行動が長時間続いたり、意識障害やけいれんを伴ったりすることが多いとされています。また脳症は後遺症が残ったりまれに命に関わったりすることがあります。熱せん妄なのか脳症なのか判断できないときは、すぐに受診をしてください

子どもの熱せん妄は何時間続く?繰り返すこともあるの?

熱せん妄は10~15分、長くても数時間以内に症状が改善することがほとんどです。ただすぐに再発したり、熱を出すたびに繰り返したりすることもあります。成長とともにだんだん起こりにくくなるので、適切に対処しながら経過を見守りましょう。

子どもの熱せん妄の対処法

熱せん妄が起きたときには、ママやパパが落ち着いて対応することが大切です。慌てずに下記の対処法を行いましょう。

子どもの近くで見守る

子どもが外に飛び出したり、危険なものを口にしたりしないように、近くで見守るようにしましょう。一旦おさまっても再び熱せん妄を起こすこともあるので、発熱後2~3日は子どもから目を離さないようにしてください。また寝ているときに熱せん妄を起こしても危険がないように、1階で寝かせたり玄関や窓の鍵を閉めたりといった対策も行いましょう。

子どもの体に触れて安心させる

熱せん妄で幻覚や幻聴の症状があらわれると、子どもは怖がったりパニック状態になったりすることがあります。手を握ったり背中をさすったりして安心させてあげましょう。嫌がるようであれば無理に体に触れる必要はありません。また意味不明な言動に対しても、否定せずに聞いてあげるなど不安にさせないような対応をするといいでしょう。

薄着にして体を冷やす

症状が落ち着いたら、発熱のケアをすることも大切です。体に熱がこもらないように薄着にし、汗をかいていたら着替えさせましょう。首やわきの下、太ももの付け根など太い血管がある部分に氷枕や保冷剤を当てると楽になることもあります。子どもが嫌がらない範囲で冷やしてあげてくださいね。

子どもの熱せん妄で受診する目安は?

先にもご説明したとおり、子どもの熱せん妄と脳症は見分けがつきにくいことがあります。下記の症状がみられるときは脳症を起こしている可能性もあるので、すぐに病院を受診しましょう。

  • 異常行動が1時間以上続いている
  • 呼びかけに反応しない、視線が合わないなど意識障害がある
  • けいれんを起こしている
  • 症状改善後に再び異常行動を起こした


短時間でおさまった場合でも、はじめて熱せん妄を起こしたときは受診しておくと安心です。熱せん妄だと判断できていれば、診療時間内に受診してもいいでしょう。

子どもの熱で困ったときは…

子どもの発熱やそれに伴う熱せん妄は珍しいものではありませんが、熱が高かったりぐったりしていたりすると不安になることがあるかと思います。とはいえ、つらそうにしている子どもを連れて病院に行くのは大変ですよね。そんなときは、小児の医療に特化したアプリ「キッズドクター」のオンライン診療が便利です。自宅にいながらスマホのビデオ通話で診察を受けられます。夜間や休日も利用できるので、困ったときは検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 所 陽香
日本小児科学会認定小児科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。2011年卒業後、都内大学病院で初期研修。その後同大学病院小児科に入局し関連病院で勤務。入院患者から外来まで幅広く診療。現在二児の母。自身の子育ての経験も活かし、ご家族の不安に寄りそう医療の提供を心掛けています。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

ホームケア