子どもがやけど!対処法や受診の目安は?薬を塗ってもいい?

子どものケガ

子どもはやけどをしやすい?

小さな子どもは好奇心が旺盛で、何にでも手を伸ばして触ろうとします。「これを触ると熱い、冷たい」という判断もできないので、大人では想像もしなかったようなものでやけどをすることがあります。
また、家電のコードにひっかかって倒した、ハイハイでぶつかったなど、思わぬ事故も起こりやすいです。家庭内には大人の想像以上にやけどのリスクがあるということを意識しておきましょう。

やけどの種類・段階

やけどは、深さの程度によって4段階にわけられます。まずはこのやけどの種類についてご説明します。

1度のやけど

皮膚表面だけがやけどをし、赤くなっている状態をいいます。1度のやけどであれば傷跡は残りません。

浅達性2度のやけど

水ぶくれができ、皮膚が赤くなっている状態です。強い痛みを伴います。1〜2週間ほどで皮膚が再生されます。

深達性2度のやけど

水ぶくれができ、皮膚は白くなります。痛みはありません。3〜4週間ほどで皮膚が再生されるものの、傷跡が残る可能性が高いです。

3度のやけど

皮膚全体が壊死した状態です。皮膚は白や褐色、黒になります。皮膚の再生まで3ヶ月ほどかかることもあり、皮膚の移植が必要な場合もあります。

子どもがやけどをしたときの対処法

子どもがやけどをすると驚いて焦ってしまうかもしれませんが、落ち着いて順番に対処していきましょう。下記の手順で処置してください。

1. 冷やす

やけどの程度がどうであれ、とにかくすぐに水で冷やします。最低でも10分は冷やし続けましょう。服を着ている部分をやけどした場合は、無理に脱がさず服の上から冷やします。

氷や保冷剤で直接冷やすと悪化させることがあるので控えてください。必ず、水道水の流水で冷やしましょう

2. やけどの様子を見る

冷やしながら、やけどの程度を確認します。先にご紹介した1度のやけどで範囲も狭ければ、10〜20分程度冷やしていれば治ってきます。2度以上の火傷の場合は、病院を受診する必要があります。

3. 必要に応じて病院を受診

やけどの程度がひどいときや、デリケートな部分をやけどした場合は、病院を受診します。受診の目安については次の章でご紹介します。

子どもがやけどをしたときの受診の目安

下記のような状態のときは、すぐに病院を受診します。夜間や土日でも、救急病院や往診を利用してください。

  • 顔、陰部、気道をやけどした
  • やけどした面積が広い
  • 水ぶくれができている
  • 出血して、顔色が悪い
  • 意識がない、ぐったりしている
  • 苦しんでいる


次のような状態のときは急ぐ必要はありませんが、必要に応じてかかりつけの小児科などを受診してもいいでしょう。

  • やけどの範囲は小さく、水ぶくれはないが、赤みや痛みがなかなかひかない


子どもがやけどをしたとき、薬は塗ってもいい?

子どものやけどに自己判断で薬を塗るのはNGです。症状が悪化してしまうこともあります。薬は医師に指定されたものを、用法・用量を守って塗るようにしてください。

子どもがやけどをしやすい物と予防方法

子どもは思いも寄らないシーンでやけどをします。やけどをしやすい物と、予防のために気をつけることをご紹介します。

液体でのやけど

味噌汁やあたたかいお茶をこぼしたり、その中に手を入れたりしてやけどをすることがあります。触ってほしくない液体は必ず子どもの手の届かないところに置いてください。食事に出すときも熱すぎないように調整して、一気にごくごく飲まないように様子をみてください。

家電でのやけど

熱い家電に触るのはもちろん、ハイハイでぶつかる、コードに引っかかって倒す、湯気や蒸気を触るなどしてやけどしてしまうことがあります。特に気をつけたいには下記の家電です。

  • アイロン
  • ストーブやファンヒーター
  • 電気ケトル、ポット
  • 加湿器
  • 炊飯器


これらの家電は必ず子どもの手に触れないところに置いてください。電源コードに引っかかることもあるので、コードも手に触れないようにすることが大切です。

特に近年電気ケトルでの子どものやけどが多く、消費者庁も毎年注意喚起しています。下記のようなシチュエーションでやけどをしたケースもあるようなので、注意してくださいね。

・「保護者がキッチンで米を研いでいたところ、子どもがキッチンに入ってきて、高さ50cmの引き出すタイプの棚にあった電気ケトルを持ち上げて床に落としてしまい、こぼれたお湯で足にやけどを負った。」(1歳)

・「食事の際、テーブルの上に湯を沸かしたばかりの電気ポットを置いていた。子どもはベルトをした状態でハイチェアに座っていた。保護者がキッチンで作業をしていると叫び声が聞こえたので見てみると、電気ポットが座っている子どもの方へ倒れていた。こぼれたお湯がかかり、腕や足などにやけどを負った。」(1歳)

引用:消費者庁「Vol.489 電気ケトル等の転倒によるやけど事故に注意!」

やけどのホームケアに迷ったら…

やけどをして流水で冷やしはしたものの、「このまま様子を見てもいいのかな?」「ホームケアはこれであってるかな?」など自分では判断できないことがある場合は、子どもの医療アプリ「キッズドクター」が便利です。子どもの診察に慣れた医師にオンラインで診察してもらったり、看護師にチャットで相談したりすることができます。困ったときはひとりで悩まず、相談してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 小林揚子
日本小児科学会認定小児科専門医。2017年東北大学医学部卒業。亀田総合病院にて初期研修を修了。国立成育医療研究センターにて小児科後期研修を行い、地域医療・1-3次救急など様々な場面で小児の診療にあたる。2022年より国立精神・神経医療研究センター病院脳神経小児科に勤務。1児の母。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

ホームケア