乳児湿疹とは?原因や症状、治療方法、薬などの基本情報まとめ

子どもの病気


多くの赤ちゃんにあらわれる乳児湿疹。なぜできるのか、どうしたら治るのかといった基本情報を知って、適切にケアしてあげたいですよね。この記事では、乳児湿疹の原因や治療方法、処方される薬などをご紹介します。

乳児湿疹とは?

乳児湿疹とは、新生児期から乳児期にみられる皮膚トラブルの総称です。代表的なものに次のような種類があります。

  • 新生児中毒性紅斑
  • 新生児ニキビ(新生児ざ瘡)
  • 乳児脂漏性湿疹(新生児脂漏性湿疹)
  • 小児乾燥性湿疹 など

乳児湿疹の原因は?

乳児湿疹の原因として考えられるのは、主に以下の2つです。

皮脂の分泌量が多い

赤ちゃんがママのお腹の中にいたときに胎盤を通して受けついだホルモンの影響により、生後しばらくは皮脂が盛んに分泌されます。赤ちゃんの毛穴は小さいため皮脂が毛穴に詰まりやすく、乳児湿疹が起こるとされています。

肌が乾燥しやすい

生後2〜3ヶ月を過ぎると皮脂の分泌量が落ち着いて、それまでとは反対に肌が乾燥しやすくなります。

赤ちゃんは汗を多くかくため乾燥しにくいと思われがちですが、皮脂のバランスをうまく調整することができないため、汗が乾いた後の赤ちゃんの肌は逆に乾燥しやすい状態です。

乾燥がひどくなると肌が炎症を起こして、乳児湿疹が起こりやすくなります。

乳児湿疹の症状は?

乳児湿疹の症状は月齢や体質、湿疹の種類によってさまざまです。ここでは、先述の代表的な乳児湿疹の症状をそれぞれご紹介します。

新生児中毒性紅斑

新生児の約半数にあらわれるとされる発疹で、生後まもない間に背中や胸などに赤い斑点や小さな水ぶくれなどができます。基本的にかゆみや不快感はありません。

新生児ニキビ(新生児ざ瘡)

生後2週間頃から生後1ヶ月頃によくみられる吹き出物です。おでこや頬にあらわれることが多く、白い芯があるもの、膿をもっているもの、赤くてブツブツしたものなどがあります。

乳児脂漏性湿疹(新生児脂漏性湿疹)

生後3~4週間以降の赤ちゃんに起こりやすい皮膚トラブルの一つです。頭部やおでこ、眉毛の生え際など皮脂の分泌が盛んな部分に黄みがかったかさぶたができて、フケのようなものが出ます。

小児乾燥性湿疹

お腹や背中など面積が広い部分や、顔や手足など外気に触れやすい部分が乾燥して、粉をふいたりひび割れしたような状態になったりします。皮脂の分泌量が落ち着いてくる生後2〜3ヶ月頃や、空気が乾燥する冬に起こりやすいトラブルです。

乳児湿疹の治療方法は?

乳児湿疹は基本的に数週間から数ヶ月程度で自然に治るため、特別な治療は必要ないケースがほとんどです。皮膚を清潔に保つ、沐浴や入浴のあとに保湿する、患部に刺激を与えないといった適切なホームケアによって悪化を防ぐことができます

新生児ニキビはベビーオイルなど油分が多い保湿剤の使用をやめると、改善する場合もあります。乳児脂漏性湿疹は、湿疹の部分にワセリンやオリーブオイルなどを塗り、しばらくしてふやけてきたら石けんやベビーソープをよく泡立ててやさしくしっかり洗うといいでしょう。

ただし赤ちゃんに次のような症状や様子がみられるときは、外用薬による治療が必要になることがあります。

  • いつもより泣いたり機嫌が悪かったりする
  • 掻きむしって肌が傷ついている
  • 発疹が全身に広がり症状が悪化している
  • 自宅でケアしても症状が改善しない など


このような症状がある場合、まれに細菌による感染症を起こしていることもあります。また乳児湿疹ではなく、アトピー性皮膚炎などほかの皮膚疾患の可能性も考えられます。早めに小児科や皮膚科を受診するようにしましょう。

乳児湿疹で処方される薬は?

乳児湿疹で受診すると、症状にあわせて一般的に次のような外用薬が処方されます。赤ちゃんの肌質によって薬が合わないこともあるので、受診時によく相談するようにしましょう。

保湿剤(プロぺト、ヒルドイド、ヘパリン類似物質など)

しっかりと保湿をすることで皮膚の乾燥を防ぎ、回復力や抵抗力を高められます。保湿剤にはローションやクリーム、軟膏といったタイプがあり、それぞれ使いやすさや保湿力が違います。

ワセリン

塗ることで皮膚の表面に油分が張られるため、肌からの水分が逃げないよう保湿したり、よだれや尿・便などが肌に直接付着して炎症を起こしたりするのを防ぎます。

ステロイド外用薬

皮膚の炎症をおさえる作用があります。赤ちゃんは皮膚が薄いため、つよさが弱いタイプのものが処方されます。長い期間同じ部位に塗り続けると皮膚が薄くなる、赤みが出るなどの副作用があらわれることがありますが、用量・用法を守って適切に使えば基本的に心配はありません。

アズノール軟膏

非ステロイド系の軟膏で、皮膚をガードして炎症をやわらげる作用があります。ステロイドほど強い効果はないものの、赤ちゃんでも安心して使える塗り薬としておむつかぶれやあせもなどによく処方されます。

乳児湿疹の相談はオンラインでも

乳児湿疹の基本的な情報をお伝えしましたが、皮膚トラブルの症状や程度は赤ちゃんによって違うため、「このケア方法で大丈夫かな」「受診したほうがいいのかな」と不安になることもあるかもしれません。そんなときは、赤ちゃん・子どもの医療に特化したアプリ「キッズドクター」が便利です。看護師に個別チャットで相談でき、乳児湿疹のホームケアや受診目安などについて質問したりアドバイスをもらったりできます。困ったときはぜひ検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 所 陽香
日本小児科学会認定小児科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。2011年卒業後、都内大学病院で初期研修。その後同大学病院小児科に入局し関連病院で勤務。入院患者から外来まで幅広く診療。現在二児の母。自身の子育ての経験も活かし、ご家族の不安に寄りそう医療の提供を心掛けています。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

ホームケア