インフルエンザワクチンが鼻から接種できるようになりました。「フルミスト」の特徴や年齢、料金などを解説
毎年冬に猛威を振るうインフルエンザ。子どもは感染すると重症化するリスクもあることから、毎年ワクチンの接種を検討する家庭も多いかもしれません。このインフルエンザワクチン、2024年から、「鼻から接種するタイプ」が接種できるようになったのをご存知ですか?今回は鼻から接種するインフルエンザワクチンについて詳しくご紹介します。
インフルエンザワクチンを「鼻から」接種できるようになりました
2023年3月、鼻に噴霧する点鼻薬タイプのインフルエンザワクチン(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)、「フルミスト点鼻薬」の製造と販売が国内で承認されました。
日本では初めての承認ですが、アメリカでは2003年に承認されており、2023年4月時点では36の国と地域でも承認されています。
従来の注射で接種するワクチンと違って鼻の中にスプレーを吹きかけるだけなので、痛みがないのが特徴です。
鼻から接種するインフルエンザワクチン「フルミスト」とは?これまでのワクチンとの違いは?
フルミストは、鼻の中へ吹き付ける生ワクチンです。
生ワクチンとは、生きているウイルスや細菌の毒性を弱めたものを原料に作られているワクチンです。接種後に得られる免疫が強いですが、ウイルスや細菌が体内で増殖するので、接種後に副反応が出やすいという特徴があります。他のワクチンと同時接種もできますが、生ワクチン(麻疹風疹、水痘、おたふくかぜなど)とは4週間あけてください。
一方、従来の注射で接種するインフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。
不活化ワクチンは、感染力や毒性が完全になくなったウイルスや細菌から作られたワクチンです。1回の接種では免疫がつきづらく、基本的には複数回の接種が推奨されます。
フルミストの対象年齢は?
フルミストを接種できる対象年齢は、2歳〜19歳未満です。
国外では2歳〜49歳以下が接種適応年齢とされていますが、国内の接種適応年齢の上限は19歳未満になっています。
フルミストの接種回数は?
フルミスト点鼻薬の摂取回数は、1シーズンに1回です。左右の鼻のなかに0.1mLのワクチンを1噴霧ずつ、合計2噴霧します。
フルミストの料金は?
従来のインフルエンザワクチンと同様、フルミストにも健康保険が適用されません。原則、全額自己負担となります。
料金は病院によって異なりますが、8,000〜9,000円前後のことが多いようです。従来のインフルエンザワクチンは1回3,000〜4,000円前後で、2回接種すると6,000〜8,000円前後かかるので、比較すると少し高いかそこまで変わらない程度のようです。
自治体や加入している健康保険組合によっては、費用が助成されたり、補助金が出たりすることがあります。
フルミストは他のワクチンと同時接種できる?
フルミストは他のワクチンと同時接種もできますが、生ワクチン(麻疹風疹、水痘、おたふくかぜなど)を接種する場合は間隔を4週間あける必要があります。
フルミストの副反応は?
前述の通りフルミストは生ワクチンなので、従来の注射タイプのインフルエンザワクチンと比較して副反応が出やすい傾向にあります。現在日本国内で確認されている主な副反応には、次のようなものがあります。
10%以上の人にでる副反応
- 鼻水・鼻詰まり(59.2%の人に出る)
- 咳
- 喉の痛み
1〜10%未満の人に出る副反応
- 鼻咽頭炎
- 食欲減退
- 下痢・腹痛
- 発熱
- 活動性低下・疲労・無力症
- 筋肉痛
- インフルエンザ
1%未満の人に出る副反応
- 発疹
- 鼻出血
- 胃腸炎
- 中耳炎
頻度は不明だが、まれにでる副反応
- 顔面のむくみ
- 蕁麻疹
- ミトコンドリア脳筋症の症状悪化
フルミストは、いつどこで打てる?
国内承認のフルミストは、2024〜2025シーズンから接種できるようになります。2024年の接種は10月1日から開始しますが、入荷の状況などにもよるため各病院によって異なります。
またフルミストは小児科で接種することが可能ですが、すべての小児科で取り扱いがあるわけではありません。数も限られているので、接種を検討したい場合は早めにかかりつけの小児科などに問い合わせるのがいいでしょう。
インフルエンザの相談はオンラインでも
インフルエンザはワクチンを接種しても感染する可能性があります。基本的な感染対策をしっかり行い、家族みんなで予防していきましょう。感染してしまった場合は、オンライン診療でも受診や相談が可能です。困ったときはぜひ相談してくださいね。