インフルエンザワクチンの副反応について/症状や日数は?子どもが発熱したらどうする?

ワクチン・予防接種


毎年秋〜冬にかけて接種が推奨されているインフルエンザワクチン。子どもが接種すると、どのような副反応が表れるのでしょうか?今回はインフルエンザワクチンの副反応の症状や出るタイミング、ホームケア方法などを紹介します。

ワクチンの副反応はなぜ起こる?

ワクチンは、感染の原因となるウイルスや細菌の力を弱めたり、毒素を無毒化したりしたもので作られています。感染したときと同じような状態を体の中で作ることで、そのウイルスや細菌に対して免疫を得られる仕組みです。

この免疫を得る過程で起こる反応が副反応です。副反応が起こるということは、体が免疫を得ている証拠ともいえます。

インフルエンザワクチンの副反応はいつ起こるの?

インフルエンザワクチンの副反応は、ほとんどがワクチン接種後24時間以内に表れます。この間は注意して様子を見ておく必要があります。

またアナフィラキシーなどの急な副反応は接種後30分以内に出ることが多いので、この間はワクチンを接種した病院で待機したり、連絡が取れるようにしたりしておく必要があります。

インフルエンザワクチンの副反応で起こる症状ー注射の場合ー

従来の注射で接種するインフルエンザワクチンの場合、下記のような副反応が起こることがあります。

  • 注射跡の赤み、腫れ、痛み
  • 発熱、悪寒、頭痛、全身倦怠感
  • ショック、アナフィラキシー症状


それぞれについて説明します。

注射跡の赤み、腫れ、痛み

インフルエンザワクチンの副反応として最も多く見られる症状です。ワクチンを摂取した人の10〜20%に起こります。接種から24時間以内に症状が表れて、2〜3日程度で消失します。

発熱、悪寒、頭痛、全身倦怠感

インフルエンザワクチンを摂取した人の5〜10%程度の人に起こる副反応です。こちらも2〜3日程度で症状はおさまります。

ショック、アナフィラキシー症状

まれに起こる、ワクチンへのアレルギー反応のことです。主な症状は発疹、蕁麻疹、赤み、かゆみ、呼吸困難、意識障害です。これらの症状は接種後比較的すぐに起こることが多く、ワクチン接種後30分は医療機関で安静にすることが推奨されています。

インフルエンザワクチンの副反応で起こる症状ー点鼻薬の場合ー

2024年から、鼻から噴霧する点鼻薬タイプのインフルエンザ生ワクチンが接種できるようになりました。接種できる対象は2〜18歳の子どもです。
このワクチンは生きているウイルスや細菌の毒性を弱めたものを原料に作られている「生ワクチン」なので、従来の注射で接種するワクチン(不活化ワクチン)に比べて副反応が出やすい傾向にあります

現在日本国内で確認されている主な副反応には、次のようなものがあります。

10%以上の人にでる副反応

  • 鼻水・鼻詰まり(59.2%の人に出る)
  • 喉の痛み


1〜10%未満の人に出る副反応

  • 鼻咽頭炎
  • 食欲減退
  • 下痢・腹痛発熱
  • 活動性低下・疲労・無力症
  • 筋肉痛
  • インフルエンザ


1%未満の人に出る副反応

  • 発疹
  • 鼻出血
  • 胃腸炎
  • 中耳炎


頻度は不明だが、まれにでる副反応

  • 顔面のむくみ
  • 蕁麻疹
  • ミトコンドリア脳筋症の症状悪化


インフルエンザワクチンの副反応が出たらどうする?

副反応は基本的に数日で自然と治るため、特別な対処は必要ないことがほとんどです。とはいえ症状がつらいときは、以下のような方法でケアしてあげるといいでしょう。

注射跡の赤み、腫れ、痛みのケア

冷たいタオルなどで、接種した部位を冷やしましょう。気になってかいてしまわないように気をつけてください。

発熱、悪寒、頭痛、全身倦怠感のケア

水分補給をしっかりしながら安静にします。

解熱剤を使用するほどひどくなることはあまりありませんが、どうしても解熱剤が必要な場合はアセトアミノフェン系の解熱剤を用法用量を守って飲ませましょう。アスピリンが入っている解熱剤は「ライ症候群」という病気にかかりやすくなる可能性があるため、アスピリン系の解熱剤は飲ませないようにしてください。

飲む薬の種類や服用のタイミングは、事前にワクチンを接種した病院の医師に相談しておくと安心です。

ショック、アナフィラキシー症状が起こったら

ワクチンを接種した病院の近くにいる場合は、連絡をして病院に向かうか、指示を仰ぎましょう。症状がひどい場合はすぐに救急車を呼んでください

インフルエンザワクチンの副反応で病院を受診する目安は?

ワクチン接種後、下記のような状態のときは病院を受診しましょう。

  • 症状が日に日にひどくなっている
  • 数日経っても症状がなくならない


下記のような症状のときは、急いで受診するか救急車を呼んでください。

  • 発疹や呼吸困難など、アナフィラキシーのような症状があらわれている

副反応が心配なときは…

インフルエンザワクチンの副反応は基本的に数日でおさまりますが、子どもが急に発熱したりすると不安になるものですよね。ワクチンの副反応が心配なときは、子どもの医療アプリ「キッズドクター」が便利です。看護師に無料で相談したり、医師のオンライン診療を受けたりすることができます。スマホで完結するので、子どもの看病をしながらでも利用しやすいですよ。困ったときは検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 六郷由佳
日本小児科学会認定小児科専門医。2012年福島県立医科大学卒業。石巻赤十字病院で初期研修を行い、東北大学病院小児科に入局。仙台市や千葉県などの二次病院、三次病院で小児科後期研修を行う。小児科専門医を取得し、宮城県立こども病院循環器科で勤務。その後家族の仕事のため海外へ。2児の母。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

副反応