嘔吐の症状が出る子どもの感染症まとめ

子どもの病気


嘔吐は様々なウイルスや細菌が引き起こす胃腸炎でみられる症状です。こちらの記事では嘔吐の症状が出る感染症についてご紹介します。

嘔吐の症状が出る子どもの感染症まとめ

ここからは嘔吐の症状が出る感染症をご紹介しますが、子どもに嘔吐の症状があるときは、腸の一部が別の部分に入ってしまう「腸重積」や転んだり落下したりして頭を打ったことによる「脳震とう」などを起こしている可能性もあります。早期の治療が必要な場合もあるので、明らかにいつもと様子が違ったり、原因がわからなかったりするときは早めに受診するようにしましょう。

ノロウイルス感染症

突然の嘔吐から始まる胃腸炎です。ウイルスが含まれたカキなどの二枚貝を十分に加熱せず食べた場合や、感染した人の便や嘔吐物に触った手を介してウイルスが口に入った場合などに感染します。

症状

  • 急激な嘔吐
  • 下痢

ウイルスを含んだ水や食べ物を口にしてから1〜2日で症状が出ます。嘔吐症状は1〜2日、下痢は1週間程度で落ち着きます。

予防方法

ノロウイルスは熱に弱いため、二枚貝などを食べる場合は85℃以上で1分以上加熱しましょう。ウイルスのついた食品を調理した調理器具を介しても感染するため、加熱していない貝などの調理後は包丁やまな板などを洗剤で洗った後に塩素系消毒液に浸すか熱湯をかけて消毒すると安心です。

治療・ケア方法

ウイルスに対する特効薬はなく、水分補給をこまめにしながら安静にして療養します。症状に応じて整腸剤が処方されることがあります。
看病しているママ・パパにうつらないよう、嘔吐物の処理やおむつの交換をするときは使い捨てのマスクやビニール手袋などをつけて処理しましょう。嘔吐物が付着した部分は、塩素系消毒液(キッチンハイターやブリーチなどを薄めたもの)をかけた後に水拭きすることで消毒できます。

ロタウイルス感染症

激しい嘔吐と白っぽい水のような下痢が特徴です。感染力が非常に強く、5歳までにほとんどの子どもが1度は感染するといわれています。

症状

  • 激しい嘔吐
  • 白っぽい水のような下痢
  • 腹痛
  • 発熱


予防方法

予防接種を受けることで、ウイルスへの感染リスクやかかってしまった際に重症化するリスクを軽減することが期待できます。ワクチンの種類によって2回または3回接種するものがあり、生後6週から受けることが可能です。

治療・ケア方法

ウイルスに対する特効薬はありませんが、水分補給を十分に行いながら療養することで自然と回復します。
激しい嘔吐と水のような下痢によって脱水になりやすいため、様子を見ながら経口補水液や子ども用のイオン飲料をこまめに飲ませるようにしてください。柑橘系ジュースや牛乳は、吐き気や下痢をひどくすることがあるので避けましょう。

アデノウイルス感染症

アデノウイルスが引き起こす感染症は「プール熱」や「はやり目」のイメージが強いかもしれませんが、「胃腸炎」の原因になることもあります。6歳以下の子どもが感染することが多いといわれています。

症状

  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 下痢
  • 発熱


治療・ケア方法

特効薬はないため、嘔吐や下痢によって脱水症にならないようこまめに水分補給をしながら安静にして療養します。症状に応じて整腸剤が処方されることがあります。
水分を与えるときは、吐き気がおさまるのを待ってから少量ずつこまめに飲ませるようにしてください。

食中毒

食べ物や調理器具、人の手などから口に細菌やウイルスが入ることで、嘔吐や下痢が起こる病気のことです。原因となる菌によって症状や感染してから症状が出るまでの時間が異なります。

症状

  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 下痢
  • 発熱


吐き気、嘔吐を引き起こす原因となる菌には下記のようなものがあります。
サルモネラ菌
十分に加熱できていない肉、魚、卵などから感染します。食後6〜48時間で吐き気、腹痛、下痢、発熱、頭痛などの症状が出ます。

カンピロバクター
十分に加熱できていない肉(特に鶏肉)や飲料水、生野菜などが原因となります。乾燥に弱く、加熱すれば菌は死滅します。食後2〜7日で吐き気、下痢、腹痛、発熱、筋肉痛などの症状が出ます。

黄色ブドウ球菌
人の皮膚や鼻、口の中にいる菌で、傷やニキビを触った後に食品を触ると菌が付きやすくなります。おにぎりや調理パン、巻き寿司など手作業をする食べ物が原因となります。食後30分〜6時間で吐き気、腹痛などの症状が出ます。熱に強い菌なので、手洗いや清潔な環境で調理をするなどの予防が必要です。

予防方法

菌がついた食品を介して感染することが多いため、食品はしっかり洗う、適切な温度で保存する、生の食材はしっかり加熱する、長時間室温で放置しないなど取り扱いに注意します。調理器具や人の手を介しても感染するので、調理前や食事の前にはしっかり手洗いをする、生の食材を調理した器具は洗浄後に塩素系消毒液に浸す、熱湯をかけて消毒するなどを徹底しましょう。

治療・ケア方法

繰り返す嘔吐や下痢など食中毒を疑う症状が現れたら、重症化を防ぐためにもできる限り早く病院を受診しましょう。薬は自己判断では飲ませず、必ず医師の指示に従って飲ませるようにしてください。
自宅では他の胃腸炎と同様、脱水症になるのを防ぐために水分補給を意識的に行うようにしましょう。

子どもの嘔吐症状はオンライン診療で相談を

子どもに嘔吐の症状がある時「病院に連れて行く移動の間に嘔吐してしまうかもしれない」と不安を感じることもあると思います。オンライン診療が受けられるアプリ「キッズドクター」なら自宅から医師の診察が受けられるので、移動中の心配がありません。医師が必要と判断した場合は、薬の処方も可能です。困った時は検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 吉年俊文
日本小児科学会認定小児科専門医、日本小児栄養消化器肝臓学会認定小児栄養消化器肝臓認定医。2021年東京慈恵会医科大学大学院博士課程修了。2024年ロンドン大学衛生熱帯医学大学院臨床疫学修士課程。現在はトロント大学・トロント小児病院消化器肝臓栄養部門の臨床フェロー。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

キッズドクター