子どもが胃腸炎になったときの過ごし方のポイントとは?

子どもの病気


胃腸炎の症状は風邪などのよくある呼吸器系の感染症とは違うので、子どもがかかると自宅でどう過ごさせたらいいのか迷うこともあるかもしれません。そこでこの記事では、子どもが胃腸炎になったときの過ごし方の基本やポイントをご紹介します。

子どもの胃腸炎の症状は?

胃腸炎はウイルスや細菌、アレルギー反応や寄生虫などが原因で起こります。子どもの場合は、ロタウイルスやノロウイルスなどが原因のウイルス性胃腸炎であることがほとんどです。

子どもの胃腸炎の症状は、主に以下の通りです。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 血便 など


数日で自然に治ることが多いですが、まれに脱水症状やけいれんを起こすことがあるため注意が必要です。

子どもが胃腸炎に感染したときの、自宅での基本的な過ごし方まとめ

子どもが胃腸炎に感染した可能性があるときは、まず病院を受診しましょう。特別な治療方法があるわけではありませんが、ほかの病気と見分けたり症状に合わせて薬を処方してもらったりすることができます。

受診後に自宅で過ごすときは、次のようなことを基本としましょう。

安静にする

まずは安静にすることが大切です。嘔吐や下痢は体力を消耗するため、いつも以上に睡眠をしっかり取り、起きている間もできるだけ横になって体を休めましょう

水分補給をする

嘔吐や下痢を繰り返すと体から水分が失われるため、水分補給をして脱水を予防しましょう。ただし、嘔吐後すぐに水分を与えると再び吐いてしまうことがあるため、しばらく胃を休ませてから少量ずつ飲ませるようにしてください。

目安としては、嘔吐から30分ほど経って症状が落ち着いてきたらティースプーン1杯程度の水分を与えます。しばらくしても嘔吐が起きなければ、5〜10分おきにペットボトルキャップ1杯分(5〜8mL)程度、またはティースプーン1杯程度の水分を繰り返し飲ませて、様子を見ながら徐々に飲む間隔と量を普段通りに戻していきましょう。

消化がよい食べ物を食べる

嘔吐の症状がひどかったり下痢が続いていたりするときは、無理に食事をさせる必要はありません。ただし、食べない期間が長くなりすぎると胃腸の機能が低下して回復が遅れることもあります。水分補給がほぼ普段通りにできるようになったら、徐々に食事を再開させましょう

食べさせるときは脂っこいものや糖分が多いものは避け、下記のような消化が良いものを選ぶようにしてくださいね。

  • おかゆ
  • うどん
  • 食パン
  • 野菜スープ
  • りんご
  • バナナ など

子どもが胃腸炎に感染!過ごし方のポイントは?

子どもが胃腸炎にかかったときは次にご紹介するポイントを参考に、感染した本人だけでなく家族みんなで過ごし方を工夫してみてくださいね。

手洗いを徹底する

ウイルスは手指を介して感染が広がることがあるため、こまめに手洗いをして、家庭内での二次感染を予防しましょう。石鹸やハンドソープでしっかり洗い、十分に流してから清潔なタオルやペーパータオルで拭き乾かします。手のアルコール消毒は、ノロウイルスやロタウイルスには効果がありません。

感染した子どものおむつを替えたりお尻を拭いたりした後は、便の中に排泄されたウイルスや細菌が手に付着している可能性があるため、特に丁寧に手を洗ってください。

ママやパパはマスクをする

感染した子どもが嘔吐したときに飛び散る飛沫を吸い込んで家族が感染することがあるので、マスクを着用しましょう。きょうだいがいる場合はマスクを嫌がらないようであれば着用させてくださいね。

よく触る場所を消毒する

胃腸炎は接触感染でも広がるため、ドアノブや電気のスイッチ、トイレの洗浄ボタン、テーブルなどウイルスが付着しやすい場所をこまめに消毒してください。ノロウイルスやロタウイルスにはアルコール消毒はあまり効果がないため、次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用の塩素系漂白剤(ハイターやブリーチなど)を薄めた消毒液を使いましょう。

消毒液は、2Lのペットボトルにキャップ2杯(約10ml)の塩素系漂白剤を入れ、水を加えて全部で2Lになるようにすれば簡単に作ることができます。

お風呂は最後に入れる

お風呂のお湯を介して感染が広がることもあります。感染している子どもが湯船に入る場合は、一番最後に入浴させましょう。どうしても先に湯船に入る場合は、入った後にお湯を抜いて浴槽や洗い場、ドアノブ、蛇口などを掃除・消毒してから次の人が入ると安心です。

なお、嘔吐や下痢を繰り返しているときは、体力の消耗を避けるために入浴は控えたほうがいいでしょう。蒸しタオルで体を拭いたり、お尻のみをシャワーで洗ったりしてあげてください。

食器やタオルの共有は避ける

家族で食器やタオルを共有することでも感染が広がることがあります。食器やタオルは一人ひとり分けて使うようにして、特に感染した子どもとは共有しないようにしましょう

子どもの胃腸炎で再受診する目安は?

安静に過ごしていても胃腸炎の症状がよくならない場合は再受診を検討してください。次のような症状が続くときは、診療時間内に受診しましょう。

  • 発熱や下痢の症状が続いている
  • 半日以上、嘔吐を繰り返している
  • 尿の量がいつもより少ない
  • 機嫌が悪い


下記のような症状がみられるときは、すぐに受診してください。夜間や休日の場合は救急外来を受診しましょう。

  • 吐き方が激しくなっている
  • 腹痛がひどい
  • 水分がとれず口の中が乾いている
  • 吐物が緑色で苦そうな臭いがする
  • 吐物が赤黒い色やコーヒー色で生臭い
  • 高熱がある

胃腸炎の子どもとの過ごし方に迷ったら…

子どもが胃腸炎にかかると、どのくらい安静にさせたらいいのか、食事はどのタイミングで何を与えたらいいのかなど悩むことがあるかと思います。そんなときは、看護師に相談できるアプリ「キッズドクター」がおすすめです。個別チャットでやり取りでき、家庭での過ごし方やホームケア方法など気になることを教えてもらえます。無料で利用できるので困ったときはぜひ検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 吉年俊文
日本小児科学会認定小児科専門医、日本小児栄養消化器肝臓学会認定小児栄養消化器肝臓認定医。2021年東京慈恵会医科大学大学院博士課程修了。2024年ロンドン大学衛生熱帯医学大学院臨床疫学修士課程。現在はトロント大学・トロント小児病院消化器肝臓栄養部門の臨床フェロー。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

ホームケア