おねしょ(夜尿症)の宿泊行事対策まとめ

夜尿症


園や学校で宿泊行事があると、夜尿症の子どもはどう対策するのがいいのか、もしおねしょをしてしまったらどうしたらいいのかなど心配になりますよね。この記事では夜尿症の子どもが宿泊行事に参加するときの対策などをご紹介します。

夜尿症とは?原因は?

日本夜尿症学会によると、5歳以上の子どもで、1ヶ月に1回以上おねしょをすることが3ヶ月続いている状態を「夜尿症」といいます。夜尿症の子どもは5歳で15%、6歳で13%、7歳で10%、8歳で7%、10歳で5%、12~14歳で2~3%、15歳以上で1~2%というデータがあり、決して少なくないことがわかります。

夜尿症の原因は主に次の3つで、一般的にはこれらがいくつか重なることで起こります。

・睡眠から覚醒する力が低く、睡眠中に尿意があっても起きられない
・睡眠中の膀胱の働きが未熟である(膀胱の容量が小さい、膀胱が勝手に収縮するなど)
・ホルモンの影響や水の飲み過ぎなどで夜間に尿が作られ過ぎてしまう

また多くはありませんが、次のような原因で夜尿症になることもあります。

・中枢神経の発達に遅れがある
・両親からの遺伝
・排尿筋過活動、尿路異常、睡眠時無呼吸症候群など、膀胱や尿の生成に影響を及ぼす可能性のある疾患

ストレスなどの精神的な問題が原因になるという根拠は乏しく、保護者のしつけや本人の性格なども関係ありません。

宿泊行事に向けて行いたいおねしょ対策は?

ここでは、宿泊行事に向けたおねしょ対策をご紹介します。

子どもや医師と話し合う

宿泊行事の前に、子どもの気持ちにしっかり耳を傾けてあげましょう。宿泊行事を楽しみにしていれば問題ないですが、「恥ずかしいから参加したくない」「友達に知られたくない」など、ネガティブな気持ちを抱えている可能性もあります。子どもの気持ちを優先しながら家族や医師と相談し、どのような対策を行うか考えていきましょう。

担任の先生に伝えておく

いざというときにサポートしてもらえるように、保護者から担任の先生に子どもが夜尿症であることを伝えておきましょう。子どもに伝えさせるのではなく、保護者から伝えることが大切です。実践している治療法や飲んでいる薬などがあれば、詳しく話しておきましょう。

子どもによっては、いつも一緒に過ごしている担任の先生に知られるのを嫌がることもあるかもしれません。しかし先生が把握をしていないと、宿泊行事中におねしょをしたときに子ども一人では対処できなかったり、友達に知られてしまって嫌な思いをしたりすることもあります。どうしても担任の先生に伝えにくい場合は、まずは保健の先生などに相談するのもいいでしょう。園や学校には宿泊行事のおねしょ対策に慣れている先生もいるので、しっかりフォローしてくれるはずですよ。

必要なものを準備する

宿泊先でのおねしょ対策に、次のようなものを準備しておくといいでしょう。

  • 紙おむつ
  • おねしょパンツ
  • おねしょズボン
  • 濡れても目立たない濃い色のパジャマ
  • 腹巻き
  • 防臭ビニール袋 など


紙おむつの場合は友達に見られるのが気になる子どもが多いので、お風呂の後は普通のパンツを着用して寝る前に部屋のトイレなどで紙おむつに替えるといいでしょう。紙おむつを捨てる方法についても事前に先生に相談しておいてくださいね。

おねしょパンツはメーカーや商品によっておしっこの吸収量が異なるため、購入前によく確認して適切なものを用意しましょう。おねしょズボンは防水性はありますが吸水性はないので、おねしょパンツや紙おむつと併用するのがおすすめです。

また、おねしょパンツ・ズボンやパジャマを着用しておねしょをした場合は洗わずそのまま持ち帰ることがほとんどなので、防臭ビニール袋などを持たせるようにしてください。

薬の服用を検討する

宿泊行事に向けて一時的に夜尿症の薬を服用することで、おねしょ対策ができることもあります。6歳以上の子どもに使われることが多い「デスモプレシン」は、6週間前から試しに服用することが推奨されています。宿泊行事の日程がわかったら、早めに小児科や泌尿器科を受診して必要に応じて処方してもらいましょう。

すでに薬を服用している場合は宿泊先にも持っていき、決められた時間に飲むようにしてください。

宿泊行事当日にできるおねしょ対策は?

宿泊行事当日は次のようなおねしょ対策をしましょう。

夕食時や就寝前に水分を摂りすぎない

就寝中に作られる尿の量を少なくするために、夕食時や就寝前に水分を摂りすぎないように気をつけてください。食事にも水分が含まれるので、夕食に味噌汁やスープなどが出たら、あまり飲みすぎないようにすると安心です。ただし、脱水症状を防ぐために日中はこまめに水分補給をするようにしてくださいね。

体を冷やさない

体が冷えると尿の量が増えやすいため、寝冷えしないように注意しましょう。滞在先の気温が低い場合は、特に注意が必要です。入浴後は上着を羽織って湯冷めを防いだり、寝るときは腹巻きをつけたりと工夫するようにしてください。また夕食や食後のデザートに冷たいものを食べ過ぎないように気をつけましょう。

寝る前にこまめにトイレへ行く

就寝前は尿意がなくてもこまめにトイレへ行くようにしてください。布団やベッドに入ってしばらく寝付けないときは、再度トイレへ行っておきましょう。

夜中に起こしてもらう

子どもが嫌がらなければ、先生たちの就寝前に一度起こしてもらってトイレへ行くのも一つの方法です。睡眠は妨げられてしまいますが、夜中にトイレを済ませておくことでそのあと安心して眠ることができ、おねしょをしない可能性も高くなります。

宿泊行事を楽しむための声かけ方法

宿泊行事中はいつもと違う環境で程よい緊張感もあるため、家で過ごしているときよりも水分摂取量を気にかけたり、こまめにトイレへ行ったりする子どもも多いようです。そのため、おねしょをせずに済むケースも珍しくありません。とはいえ実際に行くまでは、おねしょをしてしまわないか不安でいっぱいになるものです。ママやパパは「できるだけおねしょしないように」ではなく、「おねしょをしても万全に対策しているから大丈夫!」などと声かけをするといいでしょう。

また、おねしょのことばかり気になって宿泊行事を楽しめないといったことがないように、出発の数日前からはおねしょの話はあまりせず、滞在中のイベントや観光地巡りなどがワクワクするような会話ができるといいですね。

おねしょの相談はオンラインでも

ママやパパにとって、子どもの宿泊行事は何かと心配になるものですよね。特におねしょが続いたり夜尿症の疑いがある場合は宿泊行事に向けた対策が必要になるため、できるだけ早く小児科や泌尿科を受診することが重要です。ただ、デリケートなことであるため相談のハードルが高いと感じたり、通院が大変だったりして、受診に踏み切れないこともあるかと思います。

そんなときは、オンライン診療を利用するのも一つの方法です。自宅にいながら医師の診察を受けることができるので、プライバシーが守られて通院する手間もかかりませんよ。
子どものオンライン診療アプリ「キッズドクター」なら、子どもの診察に慣れた医師におねしょの相談ができ、宿泊行事についてのアドバイスなどももらえます。ぜひ選択肢の一つとして検討してみてくださいね。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

育児の悩み