梅雨〜夏場は子どもの食中毒に注意!症状や対処法、病院受診の目安など基本情報

子どもの病気


梅雨〜夏にかけて家族で気をつけたい病気のひとつに、食中毒があります。夏に感染しやすい食中毒の原因や症状、家庭で取り組める予防方法について詳しくまとめました。

食中毒とは?

食中毒は、ウイルスや細菌が付着した食べ物を食べることで起こる病気です。感染すると胃腸などの消化器官を中心に症状が発現します。

夏と冬に流行しやすく、それぞれの季節で原因となる細菌やウイルス、症状などが異なります。今回は夏に流行しやすい食中毒についてご説明します。

夏の食中毒の原因と症状は?

夏の食中毒の原因の多くは「細菌」です。これは細菌が高温多湿の環境で活発に増殖するという特徴があるためで、特に6〜9月頃に注意が必要です。夏に食中毒を引き起こす細菌には、次のようなものがあります。

腸炎ビブリオ

刺身や寿司など生の魚介類から感染することが多い細菌です。5〜40時間(平均12時間ほど)の潜伏期間を経て発症します。

腸炎ビブリオ食中毒の症状

・激しい腹痛
・水のような下痢
・吐き気、嘔吐
・37〜38度程度の発熱

サルモネラ菌

肉、卵、卵の調理食品などから感染することが多い細菌です。6〜48時間の潜伏期間を経て発症します。5日間ほどで治りますが、重症化することもあり注意が必要な細菌です。

サルモネラ食中毒の症状

・悪寒、38度前後の高熱
・嘔吐
・腹痛
・下痢
・血便(重症の場合)

黄色ブドウ球菌

本来は人の皮膚など自然界に広く存在している菌ですが、分裂する際に毒素を作り出し、その毒素によって食中毒を引き起こします。増殖力が非常に強い菌で、あらゆる食品から感染する可能性があります。原因となる食品を食べて1〜5時間(平均3時間)後に、突然症状があらわれます。

黄色ブドウ球菌食中毒の症状

・突然の吐き気、嘔吐
・腹痛
・下痢

カンピロバクター

生または加熱が足りない鶏肉から感染することが多い細菌です。潜伏期間が2〜7日(平均2〜3日)と、他の食中毒菌と比べて長いという特徴があります。自然治癒することが多く、1週間程度で完治することがほとんどです。

カンピロバクター食中毒の症状

・吐き気、嘔吐
・腹痛
・下痢
・38度前後の発熱
・頭痛

病原性大腸菌(O157など)

大腸菌は人の腸内にも存在しておりほとんどが無害なものですが、様々な種類のなかの一部には食中毒を引き起こすものもあります。特に「O157」をはじめとする腸管出血性大腸菌に感染すると重篤になりやすく、注意が必要です。草食動物の糞便に汚染された食品や野菜から感染します。

病原性大腸菌食中毒の症状

・発熱
・下痢
・腹痛

子どもの食中毒の症状は?

食中毒の症状は、先にまとめた通り原因菌によっても異なります。ただ一般的な症状は次のようなものです。

  • 腹痛
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱

これらの症状が同時にあらわれたら、食中毒が疑われます。

子どもの食中毒で病院を受診する目安は?

繰り返す嘔吐や下痢、激しい腹痛などの症状があらわれたら、重症化を防ぐためにもできるだけ速やかに病院を受診しましょう。食中毒の原因となる食品に思い当たるものがあれば、病院でその旨を伝えてください。

子どもの食中毒の対処法は?ホームケアのポイント!

ホームケアのポイントは水分補給!

子どもが食中毒になったら、基本的には水分補給をしながら安静にして回復を待つことになります。食中毒になると脱水を引き起こしやすいため、ホームケアは水分補給が鍵になります。意識的にしっかり行いましょう。

ただ水分は一気に摂らせると吐き戻してしまうこともあるので、嘔吐が続いているときは、ティースプーンなどで少量ずつこまめに与えてあげてください。子どもが飲みたがる物なら何を与えても基本的には問題ありませんが、子ども用のイオン飲料や経口補水液が特におすすめです。

自己判断での薬の服用はNG!

原因菌によっては抗生剤が処方されることもありますが、使用しないケースも多いです。また下痢止め薬を服用すると菌を腸にとどまらせて逆に治りが悪くなることもあるため、推奨されないことがほとんどです。自己判断での市販薬の服用は控えましょう

薬は病院で症状に合わせて処方されたものだけを、容量用法を守って服用するようにしてください。

食中毒は予防が大切!予防のための6つのポイント

食中毒は重症化するケースもあるため、何よりも予防が大切です。厚生労働省は、次の6つのポイントで食中毒を予防するよう呼びかけています。ポイントを意識して、しっかり予防してください。

1 買い物をするときのポイント

食材は賞味期限を確認し、新鮮なものを購入しましょう。肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は一番最後に購入するようにし、買い物後の寄り道は避けるのが安心です。

また肉や魚などは、他の食材に肉汁や水分がつかないようビニール袋で包むなどして分けておきましょう。

2 家庭での保存のポイント

冷蔵保存が必要なものは、購入後できるだけ速やかに冷蔵庫にしまうようにしてください。細菌の繁殖を防ぐために、冷蔵庫は10度以下、冷凍庫はマイナス15度以下に保ちましょう。ものを詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなるので注意です。

肉や魚はビニール袋や容器にいれ、ここでも他の食品に肉汁や水分がつかないようにしてください。

3 下準備するときのポイント

調理の前には必ず石鹸で丁寧に手を洗ってください。また肉や魚、卵などに触れたらその都度手を洗うようにしましょう。食材も流水できれいに洗います。

食中毒は調理器具を介して感染するケースも多いので、調理器具はしっかり洗い、熱湯や台所用漂白剤を使って殺菌しましょう。包丁やまな板は食材によって使い分けるとさらに安心です。

冷凍食品を使うときは、使うぶんだけを冷蔵庫や電子レンジで解凍します。自然解凍をしたり、冷凍と解凍を繰り返したりするのはやめましょう。

4 調理するときのポイント

肉や魚はしっかりと加熱してください。食材の中心部分が75度以上の状態で1分以上加熱するのが目安です。

5 食事するときのポイント

調理後は、できるだけ速やかに食事をします。長時間室温で放置しないようにしてください。

食事には清潔な食器を使用し、食べる前に石鹸でしっかりと手を洗いましょう

6 残った食品のポイント

残った食品を扱う前にも必ず手を洗います。保存するときは清潔な容器にうつし、冷蔵庫や冷凍庫にいれましょう。

残った食品を温め直すときにも十分に加熱します。また時間が経ちすぎたもの、ちょっとでも「怪しいかも」と思ったものは、食べずに思い切って捨ててください

食中毒のホームケアに迷ったら…

食中毒になると、対症療法をしながら自宅で様子を見ることになります。子どもがつらそうで、不安になることもあるかもしれませんね。そんなときは、無料で看護師に相談できる医療アプリ「キッズドクター」が便利です。必要に応じてオンライン診療で医師に診察してもらうこともできるので、困ったときは検討してみてくださいね。

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参考文献

予防 受診の目安 ホームケア