子どもが口の中を痛がるときに考えられる病気は?
子どもが口の中を痛がるときの原因は様々です。感染症などの症状として痛むこともあれば、疲れたときに出る口内炎や歯の生え始めなど原因が病気ではないこともあります。こちらの記事では子どもが口の中を痛がるときに考えられる病気やその他の原因をご紹介します。
子どもが口の中を痛がるときに考えられる病気は?
幼い子どもが「口の中が痛い」と言うとき、痛む場所が歯だったり喉だったりと自分で痛みの場所や状態を説明するのが難しいことがあります。そんなときは、口の痛みと一緒に現れる症状や口の中にできる発疹・傷の状態によって痛みの原因を探ることができます。ここからは、口の中を痛がるときに考えられる病気の症状や治療方法、自宅でのケア方法を説明します。
手足口病
口の中や手足に水ぶくれ状の発疹が出る感染症です。口の中の水ぶくれが潰れることによって口の中が痛み、食欲が落ちることがあります。
症状
- 口の中、手のひら、足の裏や甲に小さな水ぶくれ状の水ぶくれの発疹ができる(肘や膝、おしりなどにも出現することもある)
- 口や喉にできた発疹が破れて痛み、食べたり飲んだりできない
- 人によっては37〜38℃の発熱が見られることもある
まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。
- 髄膜炎
- 小脳失調症
- 脳炎
- 心筋炎
治療・ケア方法
ウイルスに対する特効薬はないため、こまめに水分補給をしながら自然と回復するのを待ちます。通常1週間ほどで回復することがほとんどです。
口や喉にできた発疹が痛んで食べづらいときは、熱いものや辛いもの、酸味の強いものなど刺激のある食べ物は避けましょう。
ヘルパンギーナ
喉の奥にできる小さな水ぶくれ状の発疹と急に出る発熱が特徴です。発疹が破れて傷となり、口腔内や喉が痛みます。
症状
- 口内や喉の奥に水ぶくれ状の発疹ができる
- 発疹が口の中で破れることによって生じる喉や口腔内の痛み
- 38℃以上の急な発熱
- 食欲不振
- 全身のだるさ
口内の痛みによって下記の症状が引き起こされることがあります。
- 水分を摂取できないことによる脱水症
治療・ケア方法
特定の治療方法はないため、安静にして体を休ませます。熱は2〜4日で下がり、その後発疹が消えていきます。口内や喉が痛む場合には鎮痛剤が処方されることがあります。
口内が痛んで食べづらいときは口当たりの優しいものを食べさせるようにしましょう。
溶連菌感染症
突然の発熱と喉の痛みの後に全身に発疹が出たり舌が赤くなったりするのが特徴です。口や喉全体に症状が出て、水分や食べ物が飲み込みづらくなります。
症状
- 全身に痒みのある赤くて細かい発疹があらわれる
- 舌が赤くなりブツブツができる(いちご舌)
- 喉の腫れ、痛み
- 38℃以上の発熱
回復時に下記のような症状が見られることがあります。
- 手や足の指先から皮がめくれる(しょう紅熱)
まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
- リンパ節炎
- 急性腎炎
- リウマチ熱
治療・ケア方法
抗菌薬が処方されます。再発したり、合併症になったりするのを防ぐため、発疹や喉の痛みなどの症状が引いた後も薬は最後まで飲み切るようにしてください。
高い熱や喉の痛みで水分が摂りづらいことから脱水症になりやすいため、こまめな水分補給を意識的に行いましょう。
口内炎
口の中や口の周りで起こる傷・腫れなどの炎症すべてを「口内炎」といいます。ひとくちに口内炎といっても、原因によって種類がさまざまあり、呼び方や特徴が異なります。
原因・症状
口内炎の種類ごとに原因や症状を説明します。
アフタ性口内炎
【原因】
一般的に最も多く見られる口内炎です。ストレスや疲れによる免疫力低下、栄養(ビタミンB2)不足などが原因と考えられています。
【症状】
- 赤く縁取られた白い穴のような傷が、頬や唇の裏側、歯茎などにできる
カタル性口内炎
【原因】
矯正器具が接触したり、頬の内側を噛んでしまったりしたときの物理的な接触によって起こる細菌の繁殖や、熱い飲み物や薬品の刺激によってできる口内炎です。
【症状】
- 口の粘膜が赤く腫れる
- 口内に水ぶくれ状の発疹ができる
まれに下記のような症状が出ることもあります。
- 唾液の量が増えて口臭が強くなる
- 口の中が熱く感じる
ウイルス性口内炎
【原因】
ウイルス感染が原因でできる口内炎です。
【症状】
- 口の中に水ぶくれ状の発疹が複数できる
- 水ぶくれが破れて浅い傷になる
- 水ぶくれ部分の強い痛み
- 突然の高熱
治療・ケア方法
ほとんどの場合、口内を清潔にする、しっかり休養させるなどを意識しながら自然と回復するのを待ちます。痛みが強い場合には、患部に直接塗る軟膏や悪化を防ぐためのうがい薬が処方されることがあります。ウイルス性口内炎の場合は、抗ウイルス薬が処方されることもあります。発熱の症状があるときは、汗をかくことで体の水分が奪われるうえ、口の痛みから水を飲み込みづらく脱水症を起こすこともあるため、こまめな水分補給を意識してください。
虫歯
口の中の細菌が出す酸によって歯が溶かされた状態のことです。食べ物に含まれる糖分によって症状が進行します。
症状
- 熱いものや冷たいものを口に含むと歯がしみる
- 痛みが続く
予防方法
虫歯予防の基本は歯みがきです。虫歯の素をしっかりと歯からこすり落とすように、歯と歯の間や歯の根元まで磨くことが大切です。小さな子どもはママ・パパが仕上げ磨きをしてあげましょう。
虫歯の素を作らないためにも、おやつの時間を決めてダラダラと食べさせないようにします。哺乳瓶は上の前歯に飲み物が停滞して虫歯の原因になりやすいので、1歳半頃までには卒業しましょう。
子どもの歯を見ていても虫歯を見つけたり判断したりするのは難しいので、定期的に歯科検診で診てもらうのがおすすめです。フッ化物を塗ってもらうのも良いでしょう。
治療・ケア方法
虫歯を放置しておくと重症化したり永久歯に影響が出たりするため、早めに受診するようにしましょう。
歯肉炎
歯を磨くときに力を入れすぎてできた傷や虫歯で被せ物をしたところに傷が入り込んで、歯茎が腫れる病気です。
症状
- 歯茎の腫れ、痛み
- 歯茎からの出血
治療・ケア方法
適切な力加減で歯磨きをし、口の中を清潔に保つことが大切です。普段使っている歯ブラシで歯茎や口の中が傷ついてしまう場合は柔らかい歯ブラシに変えるなどして丁寧に磨くことを意識しましょう。しっかりとケアをすれば自然と回復します。歯科で定期的にクリーニングをしてもらうのもおすすめです。
子どもが口の中を痛がるときの病気以外の可能性は?
子どもが口の中を痛がるとき、病気以外の原因も考えられます。下記では病気以外に起こり得る口の中の痛みの原因とケアの方法についてご紹介します。
歯の生え変わり
乳歯が永久歯に生え変わるタイミングで痛みが生じる場合があります。基本的に、痛みは自然と治まりますが、食べるときに痛がったり、何日も痛みが続いたりする場合は、ぐらついている乳歯が歯茎を傷つけていたり、永久歯が出てくることで生じた歯茎の穴に菌が入り込んで腫れたりしている可能性があります。
治療・ケア方法
歯がゆい程度であれば、頬や顎の下を冷やすことで痛みが和らぐことがあります。また口腔内を清潔に保つため、こまめにうがい薬でうがいをさせるようにします。
冷やしたりうがいをしたりしても痛みが治らない場合は歯科を受診しましょう。症状によっては塗り薬などを処方されることがあります。
歯ぎしり
成長に伴って起こる噛み合わせのずれを脳が修正しようとするため、子どもは歯ぎしりをすることがあります。多くの場合は成長の過程で自然と現れることなので問題ありませんが、強い歯ぎしりが続くと歯の神経がダメージを受けて痛みが出ることがあります。
治療・ケア方法
歯ぎしりが続くことによって歯がすり減ったりぐらぐらしたりするときは早めに受診しましょう。
また噛み合わせを調整するための歯ぎしりを少なくするためにも、普段から食べ物をよく噛むように促すのもおすすめです。
子どもの受診はオンラインで自宅から!
子どもが口の中を痛がったときは、病院に連れて行くほどではないかもしれないけれどお家でのケア方法が知りたい、治療が必要な症状なのか知りたいなど、医療の専門家からの意見を聞きたいこともあるかと思います。オンライン診療が受けられるアプリ「キッズドクター」なら、自宅にいながら医師の診察を受けることができます。困ったときは利用を検討してみてくださいね。