【流行する季節別】子どもがかかりやすい感染症リスト

子どもの病気


季節によって流行が異なる子どもの感染症。流行時期を知っておくことで予防ができ、かかってしまった際の対応もスムーズになります。こちらの記事ではそれぞれの季節に流行りやすい感染症と予防やケアの方法をご紹介します。

感染症にはそれぞれ流行時期があります!

子どもは大人に比べて感染症にかかりやすい傾向にあります。感染症は冬に流行するイメージがあるかもしれませんが、春〜秋も季節によって様々な感染症が流行します。年間を通して、手洗いや消毒などの基本的な感染対策をしっかり行いましょう。またどの季節にどんな感染症が流行するのかを事前に知って、季節に合わせて対策していけるといいですね。

春に気をつけたい子どもの感染症

入園や新学期など新しい環境での生活が始まる春。新生活の疲れが出て免疫力が低下した時にかかりやすい感染症に注意しましょう。

溶連菌感染症

溶血性連鎖球菌という細菌に感染することによって喉の痛みや高熱、発疹などが現れる感染症です。

症状

溶連菌感染症の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 38℃以上の発熱
  • 喉の腫れ、痛み
  • 全身に赤くて細かい発疹があらわれる
  • 舌が赤くなりブツブツができる(いちご舌)


回復時に下記のような症状が見られることがあります。

  • 手や足の指先から皮がめくれる


まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 中耳炎
  • 副鼻腔炎
  • リンパ節炎
  • 急性腎炎
  • リウマチ熱


治療・ケア方法

抗生剤を服用します。合併症を防ぐために、症状がおさまっても処方された分をすべて飲み切ることが重要です。喉が腫れて食べ物が食べづらいときは無理に食べさせる必要はありませんが、水分補給はしっかり行いましょう。

ヒトメタニューモウイルス感染症

ヒトメタニューモウイルスへの感染によって、かぜに似た症状が現れる呼吸器感染症です。3〜6月に流行することが多く、保育園や幼稚園などで集団感染がよく見られます。

症状

ヒトメタニューモウイルスの主な症状には下記のようなものがあります。

  • 発熱
  • 鼻水
  • 喉の痛み


重症化すると喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸)があらわれ、下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 肺炎
  • 気管支炎


治療・ケア方法

水分補給をしながら安静にし、症状がおさまるのを待ちます。症状が強い場合は、解熱剤や咳止めなどが処方されることがあります。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

頬や顎の下の腫れが特徴的な感染症です。春から夏にかけて流行しやすい傾向にあります。

症状

流行性耳下腺の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 耳の下(耳下腺)、あごの下(顎下腺)、舌の下(舌下腺)の腫れ
  • 耳の痛みや違和感
  • 風邪の諸症状(発熱、頭痛、咳、喉の痛みなど)
  • 食欲不振
  • 筋肉痛


まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 無菌性髄膜炎
  • 精巣炎
  • 卵巣炎
  • 難聴
  • 膵炎


予防方法

予防接種を受けることで感染リスクを低くすることができます。接種は任意ですが、就学前までに2回受けることが推奨されています。

治療・ケア方法

特効薬はなく、対症療法を行いながら回復を待ちます。頬や顎が痛む場合は、冷やすことで痛みが和らぐことがあります。また症状に応じて解熱剤や鎮痛剤などが処方されることがあります。 

百日咳

息をつく間もなくしつこい咳が続きます。長期間に渡って症状が続くため、早めの治療とケアが大切です。

症状

百日咳の主な症状には下記のようなものがあります。

  • しつこく長引く発作性の咳


まれに下記のような症状が見られることがあります。

  • 顔面の腫れ
  • 咳込んだ後の嘔吐


予防方法

生後3ヶ月以降に受けられる定期接種「四種混合ワクチン」によって感染リスクを下げることができます。

治療・ケア方法

百日咳に有効な抗菌薬が処方されます。自宅では喉の症状を和らげるために、充分な加湿とこまめな水分補給が大切です。

夏に気をつけたい子どもの感染症

気温や湿度が高くなる夏。高温多湿の環境を好むウイルスによって引き起こされる「夏風邪」に注意しましょう。

手足口病

7月下旬頃に流行のピークを迎える感染症です。その名の通り、手や足、口の中に水疱性の発疹が出るのが特徴です。

症状

手足口病の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 口の中、手のひら、足の裏や甲に小さな水疱性の発疹ができる(肘や膝、おしりなどにも発疹が出現することもがある)
  • 口の中が痛み、食べたり飲んだりできない
  • 37〜38℃の発熱


まれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 髄膜炎
  • 小脳失調症
  • 脳炎
  • 心筋炎


治療・ケア方法

手足口病には特定の治療方法はありません。こまめに水分を摂り、安静にしながら回復をまちます。口内に発疹が出るため、刺激にならないような薄味で食べやすい食べ物を摂るのが良いでしょう。また看病するママ・パパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

ヘルパンギーナ

毎年5月頃から流行り始め、6〜7月頃にピークを迎える感染症です。急な発熱と水疱性の発疹が特徴です。

症状

ヘルパンギーナの主な症状には下記のようなものがあります。

  • 38℃以上の発熱
  • 口内や喉の奥に水疱性の発疹ができる
  • 喉や口腔内の痛み
  • 食欲不振
  • 全身のだるさ


口内の痛みによって下記の症状が引き起こされることがあります。

  • 水分を摂取できないことによる脱水症


治療・ケア方法

水分補給をしながら安静にし、自然と治るのをまちます。喉の痛みで食事を摂りにくいことがあるので、口当たりの良い柔らかいものを摂るのが良いでしょう。また看病するママやパパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスにより引き起こされる結膜炎の一種です。夏にプールを介しての感染やタオルの共用での感染が見られるため、「プール熱」とも呼ばれます。

症状

咽頭結膜炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 39℃以上の発熱
  • 喉の腫れ、痛み
  • 目の充血
  • 目やに
  • 目の痛み、かゆみ
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • リンパ節の腫れ、痛み


予防方法

タオルやハンカチを介しての感染を防ぐため、共用しないようにします。

治療・ケア方法

基本的には対症療法を行いながら回復するのを待ちます。発熱に対しては解熱剤、眼の症状に対しては目薬が処方されることがあります。喉の痛みがあるので、口当たりの良い優しい食事を摂るようにしましょう。目やにが出ている場合は濡らして絞ったガーゼなどで優しく拭き取ります。

症状が治った後も数週間便の中にウイルスが排出されています。看病するママやパパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

流行性角結膜炎(はやり目)

アデノウイルスにより引き起こされる結膜炎の一種です。感染力が強く、短期間で感染が広がりやすいことから「はやり目」とも呼ばれます。

症状

流行性角結膜炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 目の充血
  • 目やに
  • まぶたの腫れ
  • 目の周辺やあごの下のリンパ節の腫れ


治療・ケア方法

充血の改善や他のウイルスとの混合感染を防ぐために目薬が処方されることがあります。目やにが出る場合は濡らしたガーゼやウェットティッシュで綺麗に拭き取り、感染の拡がりを防ぐためすぐに捨てるようにしましょう。痒みで目をかいてしまった時に傷つかないよう爪を短くしておくのが良いでしょう。

また看病するママやパパへの感染を予防するために、おむつ交換後の手洗い、消毒を徹底するようにしましょう。

秋に気をつけたい子どもの感染症

季節の変わり目となる秋は、免疫力が低下しやすく、体調を崩しやすい時期です。寒くなる冬にかけて流行る感染症も多いので気をつけましょう。

マイコプラズマ感染症

ゆっくりと進行する風邪の症状と徐々に激しくなる咳が特徴です。年間を通して感染する可能性がありますが、特に秋〜冬にかけて流行する傾向にあります。

症状

マイコプラズマ感染症の初期症状には下記のようなものがあります。

  • 発熱
  • 全身の倦怠感
  • 頭痛
  • 乾いた咳

症状発症から3〜5日で咳が出だします。最初は乾いた咳で、徐々に激しく湿度のある咳に変わっていくことが多いです。咳は解熱後も3〜4週間ほど続くことがあります。

時に下記のような症状が見られることがあります。

  • 声がかすれる
  • 耳の痛み
  • 喉の痛み
  • 下痢や嘔吐などの消化器症状


まれにですが、重症化すると下記のような症状を引き起こすことがあります。

  • 肺炎
  • 気管支炎
  • 無菌性髄膜炎
  • 中耳炎


治療・ケア方法

抗菌薬で治療します。最近では抗菌薬の効かない「耐性菌」が増えているため、最初に処方された抗菌薬が効かない場合は他の抗菌薬を服用することもあります。

RSウイルス感染症

2歳までの子どものほとんどが1度は感染すると言われている感染症です。一般的な風邪のような症状の感染症ですが、生後6ヶ月未満の赤ちゃんや持病がある人の場合は重症化するリスクがあるため注意が必要です。

症状

RSウイルス感染症の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 発熱
  • 鼻水


生後6ヶ月未満の赤ちゃんや持病のある子どもは重症化して下記のような合併症を起こすリスクが高いといわれてます。

  • 気管支炎
  • 肺炎


予防方法

現在一般的な子ども向けのワクチンはありませんが、厚生労働省が妊婦向けのワクチンの承認を進めています。接種することで生まれてくる子どもがRSウイルスにかかった時の重症化を防ぐことが期待されています。

治療・ケア方法

一般的な風邪のときと同じで、安静にして療養するのが基本です。前述の通り小さな子どもなどは合併症を引き起こすリスクが高いため、症状がひどい場合には入院治療が行われることもあります。

冬に気をつけたい子どもの感染症

気温と湿度が低くなる冬は、様々な感染症が流行る季節です。基本的な感染症対策をいつも以上に意識し、規則正しい生活を送って体調を整えましょう。

インフルエンザ

全身に強い症状が出る感染症です。毎年11〜3月頃に感染者が増加します。子どもだけでなく大人も感染しやすいので注意しましょう。

症状

インフルエンザの主な症状には下記のようなものがあります。

  • 38℃以上の急な発熱
  • 鼻水
  • 喉の痛み
  • 頭痛
  • 筋肉痛、関節痛
  • 倦怠感


ウイルスの種類によっては下記のような症状が出ることがあります。

  • 腹痛
  • 下痢、嘔吐


乳幼児の場合、長引くとまれに下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 急性気管支炎
  • 肺炎
  • 急性中耳炎
  • 熱性けいれん
  • インフルエンザ脳症


予防方法

生後6ヶ月以降であれば予防接種を受けることができます。予防接種を受けるとインフルエンザにかかりにくくなり、かかってしまっても重症化するリスクを防ぐことが期待できます。予防接種を受けられない年齢の子どもがいる家庭では、ママ・パパが予防接種を受けて赤ちゃんに感染しないように予防するのも良いでしょう。

治療・ケア方法

医師が必要と認めた場合には、抗インフルエンザ薬が処方されます。高熱が出ることで汗をかき身体の水分が奪われるので、脱水にならないようこまめな水分補給を意識しましょう。

ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス感染症)

ノロウイルスを含んだ水や食物を接種することによって嘔吐や下痢が起こる胃腸炎です。毎年10〜3月頃に流行します。

症状

ウイルス性胃腸炎の主な症状には下記のようなものがあります。

  • 急激な嘔吐
  • 下痢

強い嘔吐症状は1〜2日、下痢は1週間程度で落ち着きます。発熱することもあります。

感染経路

【食品からの感染】

  • ウイルス性胃腸炎に感染した人が調理したものなどを食べたことによる感染
  • ウイルスが蓄積した充分に加熱されていない二枚貝などを食べたことによる感染


【人からの感染】

  • 患者の排泄物や嘔吐物、飛沫による感染


治療・ケア方法

ウイルスに対する特効薬はありませんが、症状に応じて整腸剤が処方されることがあります。嘔吐や下痢によって水分が奪われやすいので、経口補水液やベビー用のイオン飲料などで少しずつ水分補給を行うことが大切です。

看病するママ、パパへの感染を予防するために、使った食器などは分けてすぐに洗い、塩素系消毒液(キッチンハイター、ブリーチなど)で消毒します。おむつ交換の際は、交換後の手洗い、消毒を徹底します。嘔吐物を処理する時は、使い捨てのマスクや手袋を使用し、塩素系消毒液でしっかり拭き取りましょう。

子どもの受診はオンラインが便利

季節によって流行が異なる子どもの感染症。周りで感染症が流行っているタイミングで子どもが体調を崩すと、受診したくても病院で他の感染症がうつらないか、他の人にうつしてしまわないかなど心配になりますよね。オンライン診療が受けられる「キッズドクター」なら、体調不良の子どもを外に連れ出すことなくお家にいながら診察してもらうことができます。困ったときはぜひ利用を検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 臼井彩香
小児科専門医。2018年日本医科大学医学部卒業。国立病院機構埼玉病院の小児科コースにて初期研修を修了。同病院にて小児科後期研修を行う。研修の一環として慶應義塾大学病院、上尾中央総合病院、国立病院機構西埼玉中央病院にて一般的な疾患から希少疾患まで幅広い小児疾患の診療を行う。2023年より国立病院機構埼玉病院小児科・新生児科として勤務。1児の母。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

予防