【冬に流行する感染症まとめ】子どもが感染しやすい病気や対策は?

子どもの病気


さまざまな感染症が流行する冬。子どもも大人も、体調には特に注意が必要な季節です。そこで今回は、冬に流行する感染症や病気、子どもに必要な感染症対策をご紹介します。

冬に感染症が流行しやすいのはなぜ?

ウイルスは、気温15度以下・湿度40%以下の低温度・低湿度の環境になると、表面の水分を失い空中に浮遊しやすくなります。それによって生存時間も長くなるため、冬は感染症が流行しやすいのです。

また冬は寒さや乾燥によって人の体温も下がりやすく、それによって免疫力も低下しがち。冬場は人も感染症に感染しやすい体になっています。

冬に子どもがかかりやすい/流行する感染症

ここからは、冬に流行する感染症のなかでも特に子どもが感染しやすい病気についてご紹介します。

風邪

風邪は正式には「風邪症候群」といい、鼻や喉まわり(上気道)の急性な炎症の総称です。さまざまなウイルスによって引き起こされます。

風邪の症状

風邪に感染すると、下記のような症状があらわれます

  • 鼻水、鼻詰まり
  • 喉の痛み、たん
  • 発熱
  • 咳、くしゃみ


風邪の治療・ホームケア

まずは安静にすることが基本です。寒くないようにして、ゆっくり過ごさせましょう。食欲がないときは無理に食べさせなくてもいいですが、水分は意識的にしっかりとらせます。
家にある市販薬を飲ませるのはさけ、症状に合わせて病院から処方された薬を飲ませましょう。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスによって感染する気道感染症です。飛沫感染・接触感染で感染が広がりやすく、毎年11月下旬頃〜3月頃まで感染者が増加します。任意接種ですが、インフルエンザワクチンで重症化を予防することができます。

インフルエンザの症状

インフルエンザに感染すると、1〜3日ほどの潜伏期間を経て下記のような症状が現れます。症状は1週間ほど続きます。

  • 発熱(38度以上の高熱)、悪寒
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 筋肉痛、関節痛
  • 鼻水


子どもの場合、中耳炎を併発したり、熱性けいれん、気管支喘息を引き起こしたりすることもあります。

インフルエンザの治療・ホームケア

家では安静にさせ、熱が高く悪寒が強い場合はしっかりとあたためてあげましょう。水分をしっかりとらせます。

病院を受診してインフルエンザだと診断されたら、タミフルやイナビルなどの抗インフルエンザ薬を処方されることがあります。医師や薬剤師の指導を守って服用しましょう。副作用の懸念が大きい場合などは、医師の判断で抗インフルエンザ薬が処方されないこともあります。その場合は対症療法が基本ですが、家にある解熱剤を自己判断で飲ませたりしてはいけません。医師から処方されたり指定された解熱剤を服用しましょう。

抗インフルエンザ薬を服用し始めてもすぐに熱が下がらないことがありますが、全身の状態が悪くなっていない限りは様子を見ていてかまいません。ただし、水分がとれない、動けないほど元気がない、意識がわるい、呼吸の状態が悪く苦しそうというときは、再度受診しましょう。

インフルエンザで注意したい「インフルエンザ脳症」

インフルエンザ脳症は、インフルエンザの合併症のひとつで、特に5歳以下の子どもが注意したい病気です。
インフルエンザ脳症になると、命に関わることがあります。インフルエンザに感染し、次のような様子が見られる場合は、すぐに救急車を呼んでください。

  • 呼びかけに反応せず、ずっとウトウトしている(意識障害)
  • 痙攣が10分以上続いたり、繰り返したりする

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症です。1度かかっても何度も感染を繰り返し、2歳までにはほぼ全員が感染するといわれています。

RSウイルスの症状

RSウイルスに感染すると、2〜8日の潜伏期間を経て下記のような症状が現れます。

  • 発熱
  • 鼻水


多くの場合軽症ですみますが、細気管支炎や肺炎になることもあります。咳が悪化したり、呼吸困難の症状が出たりしたら、すぐに病院を受診しましょう。

RSウイルスの治療・ホームケア

RSウイルスには抗ウイルス薬がないので、対症療法が基本です。家で安静にし、必要に応じて医師に処方された薬を服用しましょう。重症化した場合は病院での酸素投与が必要になることもあります。

感染性胃腸炎(ノロ、ロタ)

ウイルスや細菌に感染したことで起こる胃腸炎を総称して「感染性胃腸炎」といいます。なかでも冬は、ノロウイルスやロタウイルスをはじめとするウイルス性の胃腸炎が流行しやすいです。

感染性胃腸炎の症状

ノロウイルスやロタウイルスに感染し、感染性胃腸炎が発症すると、下記のような症状が現れます。

  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 下痢
  • 発熱


また、嘔吐や下痢を繰り返すことによる脱水症状にも注意が必要です。

感染性胃腸炎の治療・ホームケア

ノロウイルスやロタウイルスには有効な抗ウイルス薬が存在しないため、感染したら対症療法が基本です。安静にし、脱水にならないよう少しずつこまめに水分補給を行います。食欲がないときは無理して食べさせなくてもよいので、経口補水液や塩分はこまめに与えてください。

症状がひどい場合は病院から吐き気止めなどを処方されることがありますが、市販の下痢止めなどを自己判断で飲ませることはやめましょう。下痢や嘔吐はウイルスを体外に排出するために起こっているので、無理に止めるのはよくない場合があります。

感染性胃腸炎の消毒方法

ノロウイルスやロタウイルスは、一般的なアルコール消毒が効きません。吐瀉物や下痢で汚れた服などは、次亜塩素酸ナトリウムが含まれる塩素系漂白剤(ハイターなど)で消毒するようにしましょう。

溶連菌感染症

溶血性連鎖球菌に感染することで発症する感染症です。毎年11月〜4月頃に流行します。

溶連菌感染症の症状

溶連菌に感染すると、2〜5日ほどの潜伏期間を経て、次のような症状があらわれます。

  • 発熱
  • 喉の痛み、腫れ
  • 発疹、イチゴ舌(舌に赤いぶつぶつができる)
  • 腹痛、吐き気


溶連菌感染症の治療・ホームケア

溶連菌には効果的な抗生剤があります。病院で処方された抗生剤を服用したら、通常2〜3日ほどで症状が軽快します。

ただし症状がよくなってきたからといって、自己判断で薬の服用を中止してはいけません。医師から処方された分を必ず飲みきるようにしましょう。途中で抗生剤の服用を中止すると、溶連菌が再発し、下記の合併症を引き起こすリスクがあります。

  • 急性腎炎
  • リウマチ熱
  • 血管性紫斑病
  • 中耳炎
  • 気管支炎

マイコプラズマ肺炎

肺炎マイコプラズマという細菌によって引き起こされる病気です。感染者の約80%は14歳以下の子どもといわれています。季節に関係なく感染する可能性がありますが、毎年冬になるとやや感染者数が増加します。

マイコプラズマ肺炎の症状

マイコプラズマ肺炎になると、2〜3週間の潜伏期間を経て、下記のような症状が現れます。

  • 発熱
  • 全身倦怠感
  • 頭痛
  • 乾いた咳


マイコプラズマ肺炎の治療・ホームケア

肺炎マイコプラズマに有効な抗菌薬を服用することで治療します。2週間ほどで症状がおさまりますが、症状がおさまったからといって自己判断で薬の服用を中止すると再発の恐れがあるため、処方された薬は最後まで飲み切るようにしてください。また抗菌薬を使っても、すぐには症状が良くならないこともあります。
一般的な抗菌薬が効かない場合もあるので、治療中は定期的に病院で医師に診てもらうようにしましょう。

冬にやるべき感染症対策は?

感染症にかからないためには、毎日の予防・感染対策が大切です。基本的な感染症対策と、特に冬に大切な感染症対策をご紹介します。


基本的な感染症対策

  • 規則正しい生活
  • こまめな手洗い、うがい、手指消毒
  • 部屋の換気
  • 人混みを避ける


基本的ですが、十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事、適度な運動などで、日頃から感染症への抵抗力をつけておくことが大切です。手洗いや換気なども年間を通してしっかり行いましょう。

冬に大切な感染症対策

  • 加湿する


冬は空気が乾燥しがちです。喉や鼻の粘膜が乾燥するとウイルスが体に侵入するのを防ぎづらくなってしまうので、加湿をしっかり行いましょう。
湿度は40〜60%に保つのが理想です。加湿器を使ったり、濡れたタオルや洗濯物を室内に干したりして、快適な湿度を保ちましょう。

冬の感染症が気になるときは…

子どもが体調を崩して病院を受診したいと思っても、冬は病院内での感染リスクも気になるのではないでしょうか。そんなときは、自宅にいながら医師の診察が受けられるオンライン診療が便利です。子どものオンライン診療アプリ「キッズドクター」のオンライン診療なら、子どもの診察に慣れた医師が対応してくれます。医師が必要と判断した場合は薬も処方してもらえるので、不安なときは検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 高寺 侑
日本小児科学会認定小児科専門医、日本救急医学会認定救急科専門医。2011年新潟大学医学部卒業、2021年The University of Edinburgh 小児救急医学修士課程卒業。総合病院旭中央病院で初期研修・小児科後期研修、長野県こども病院、兵庫県立こども病院小児集中治療科、サノフィパスツール小児ワクチン担当メディカルマネジャー、旭中央病院小児科・救急救命科、富山県立中央病院救急科を経て、2023年からThe Hospital for Sick Children小児救急科臨床フェローとして勤務。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

予防 ホームケア