【春に流行る病気】子どもがかかりやすい感染症まとめ

子どもの病気


あたたかくて過ごしやすくなる春は感染症が流行するイメージが少ないかもしれませんが、実は子供がかかりやすい病気が多数あります。ここから、春に流行ることが多く、子どもがかかりやすい病気をご紹介します。

春に子どもがかかりやすい病気①
溶連菌感染症

溶連菌という細菌が喉に感染することで発症する病気です。合併症を引き起こすこともあるため、早めの治療とケアが大切です。

症状

溶連菌感染症の特徴的な症状は下記のとおりです。

  • 急な高熱
  • 喉の痛み、腫れ、赤み
  • 舌にイチゴのようなぶつぶつができる(いちご舌)


次第に下記のような症状が現れることもあります。

  • 吐き気、嘔吐
  • 腹痛
  • 頭痛
  • 筋肉痛、関節痛
  • 全身の赤い発疹
  • 耳の痛み(中耳炎)


まれに下記のような合併症が引き起こされることもあります。

  • 急性腎炎
  • リウマチ熱
  • 紫斑病


潜伏期間

約2〜5日間

感染経路

患者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、菌がついた手で触ったおもちゃなどを介して感染する「接触感染」で感染します。感染力が強く、保育園や兄弟間で感染が広がりやすい傾向にあります。抗菌薬を飲むと24時間で感染力がなくなります。

予防方法

手洗い、うがい、マスクの着用といった基本的な感染症対策が大切です。

治療方法

抗菌薬を服用します。薬を飲むと1〜2日程度で熱が下がりますが、合併症や続発症の予防のために、症状がおさまっても最後までしっかり飲み切る必要があります。

春に子どもがかかりやすい病気②
風疹

風疹ウイルスによって発症する感染症です。麻しんに似ていて、3日程度で治ることが多いことから「三日はしか」とも呼ばれます。妊娠中に感染するとお腹の赤ちゃんに影響が出ることがあるため、妊娠中のママがいる・妊娠を考えている家庭やは特に注意が必要です。

症状

  • 38度前後の発熱
  • 咳、鼻水
  • 小さな発疹(顔から全身に広がる)
  • 首や耳のリンパ節の腫れ、痛み


子どもは比較的症状が軽く、熱も数日でさがりますが、まれに下記の合併症が起こることもあります。

  • 血小板減少性紫斑病
  • 脳炎


潜伏期間

4〜21日

感染経路

患者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、菌がついた手で触ったおもちゃなどを介して感染する「接触感染」で感染します。

予防方法

予防接種が最も効果的な予防方法です。定期接種で受けることができ、2回の接種が推奨されています。

治療方法

特効薬がなく、対症療法を行います。安静にして、しっかり水分補給をさせましょう。

春に子どもがかかりやすい病気③
水ぼうそう

水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされます。正式名称は「水痘」といいます。1年中いつでもかかることがある病気ですが、特に冬〜春頃に流行しやすい傾向にあります。

症状

水ぼうそうの代表的な症状は、水ぶくれを伴う赤い発疹です。発疹は全身に広がり、かゆみを伴います。発疹がでる数日前から軽い発熱や倦怠感が現れることもあります。

免疫不全などの病気を持っていると、まれに水痘肺炎を合併することがあります。

潜伏期間

2〜3週間

感染経路

水ぼうそうは非常に感染力が高い病気です。ウイルスが含まれる飛沫を吸い込む空気感染や飛沫感染、ウイルスが含まれる皮膚の発疹に触れた手を介して感染する接触感染で感染が広がります。

予防方法

水ぼうそうの予防には、ワクチンの摂取が効果的です。定期接種として、2回の接種が推奨されています。

治療方法

治療には抗ウイルス薬が使用されますが、健康的な子どもであれば抗ウイルス薬を服用しなくても自然と治ることがほとんどです。ただし免疫不全などの持病を持っていると重症化することもあるので、早めに薬を服用することが大切です。発疹のかゆみが強いときは、塗り薬を使うこともあります。

春に子どもがかかりやすい病気④
おたふく風邪

ムンプスウイルスというウイルスによって引き起こされる病気です。特に4歳以下の子どもがかかりやすく、保育園や幼稚園で感染が広がりやすい傾向にあります。

症状

おたふく風邪の主な症状は、耳の下(耳下腺)やあごの下(顎下腺)の腫れです。顔の左右両側が腫れることが多いですが、片側だけ腫れることもあります。腫れには痛みを伴うこともあります。

またおたふく風邪は風邪の一種なので、下記のような風邪の諸症状が出ることもあります。

  • 発熱
  • 頭痛
  • 咳 
  • 喉の痛み


まれに下記の合併症が引き起こされることもあります。

  • 無菌性髄膜炎
  • 睾丸炎
  • 卵巣炎
  • 難聴
  • 膵炎


潜伏期間

2~3週間

感染経路

ムンプスウイルスは感染力が比較的強いウイルスです。患者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、ウイルスがついた手で触ったおもちゃなどを介して感染する「接触感染」で感染します。

予防方法

手洗いやマスクの着用など、風邪を予防するための基本的な感染症対策を行いましょう。任意接種なので自己判断になりますが、ムンプスウイルスのワクチンを接種することも効果的です。

治療方法

おたふく風邪には特効薬がないので、基本的には対症療法を行います。水分をしっかり摂りながら安静にして、自然と回復するのを待ちます。

春に子どもがかかりやすい病気⑤
ヒトメタニューモウイルス感染症

ヒトメタニューモウイルスは、2001年に発見された比較的新しいウイルスです。RSウイルスと似ていて、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こします。10歳までにほぼ全員が感染するといわれています。

症状

ヒトメタニューモウイルス感染症の主な症状は下記のとおりです。

  • 発熱
  • 鼻水
  • 頭痛
  • 下痢、嘔吐


悪化して気管支炎や肺炎になると、下記のような症状が現れることもあります。特に気管支喘息 を持っている子どもは重症化しやすく、注意が必要です。

  • 高熱
  • 喘鳴(ゼーゼー、ヒュじゅうしーヒューという音の呼吸)
  • 呼吸困難


潜伏期間

3〜6日

感染経路

患者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、ウイルスがついた手で触ったおもちゃなどを介して感染する「接触感染」で感染します。

予防方法

ヒトメタニューモウイルスには有効なワクチンがありません。手洗いやマスクの着用など、日頃から基本的な感染症対策を行うことが大切です。

治療方法

有効な特効薬がないので、基本的には対症療法を行います。水分補給をしっかりしながら安静にしましょう。重症化して細菌による合併症が引き起こされているときは、抗菌薬を使うこともあります。

春に子どもがかかりやすい病気⑥
りんご病

「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスによって引き起こされる病気で、正式名称は「伝染性紅斑」といいます。

症状

両頬にりんごのように赤い発疹が現れるのが、りんご病の大きな特徴です。この発疹は腕や足にも広がります。発疹が出る頃にはほとんど治りかけで、発疹の前に次のような症状が出ることがあります。

  • 咳、鼻水、頭痛といった風邪症状
  • 軽い発熱
  • 筋肉痛、関節痛
  • 倦怠感


潜伏期間

10〜20日

感染経路

主に患者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むこと「飛沫感染」で感染します。ただしりんご病特有の症状が出る頃には感染力がない状態なので、りんご病だとわかっても特に保育園や幼稚園への登園停止措置などはありません。

予防方法

有効なワクチンがないので、手洗いやマスクの着用など基本的な感染症対策が大切です。

治療方法

有効な特効薬がなく、対症療法を行います。ほとんどが軽い症状のまま、自然に治ります。

子どもの体調不良にはオンライン診療も

子どもが体調を崩したら病院を受診すると思いますが、病院に連れて行くのが大変なときはオンライン診療を使うという方法もあります。家で安静にしながら受診まで待っていられますし、他の感染症への感染リスクも気になりません。子供の医療に特化したアプリ「キッズドクター」のオンライン診療なら、子どもの診察に慣れた医師が対応するため安心ですよ。医師が必要と判断した場合は薬の処方も可能なので、いざというときは検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 三宅 優一郎
日本外科学会認定外科専門医、日本小児外科学会認定小児外科専門医。初期研修終了後、順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科に入局。大学病院やこども病院で研修。カナダで横隔膜ヘルニアの胎児治療の研究にも従事。専門は小児外科疾患。2児の父。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

予防