子どもの病気を治療するときに使われることがある「抗菌薬」。効き目が強い印象があり、毎回処方してほしいと思う人もいるかもしれませんが、抗菌薬はどんなときでも使っていい薬ではありません。抗菌薬はどのようなときに使うものなのか、抗菌薬を不適切に使用するとどうなるのかなど、抗菌薬を正しく使うために知っておきたい基本情報をご紹介します。

抗菌薬とは？抗生剤はどう違う？

抗菌薬とは、体内の「細菌」をやっつけたり増殖を止めたりするお薬です。
よく耳にする「抗生剤（抗生物質）」と「抗菌薬」は、一般的に同じような意味で使われています。正式にいうと、抗菌薬のなかでも、細菌やカビなどの微生物から作られたものを抗生剤といいます。

抗菌薬はどんなときに使うの？

先にご説明した通り、抗菌薬は「 細菌」に対して効き目があるお薬です。そのため抗菌薬が使われるのは、「細菌」が原因の感染症に感染し、治療が必要なときに限られます。

私たちが感染する一般的な風邪のほとんどは「ウイルス」が原因です。子どもがよく感染する手足口病やインフルエンザ、RSなどもウイルスによって引き起こされます。
前述の通り、抗菌薬は細菌をやっつける薬なので、ウイルスによる感染症には効果がありません。つまり、一般的な風邪のときに抗菌薬を服用しても、効果がありません。

抗菌薬で治療が必要な子どもの感染症は？

細菌が原因で起こる子どもが感染しやすい感染症には、以下のようなものがあります。病院で検査を行って以下の感染症であることが確定した場合、抗菌薬が処方されることがあります。

• マイコプラズマ肺炎
• 溶連菌感染症
• 副鼻腔炎
• 中耳炎
• 膀胱炎

ただしこれらの感染症はほとんどの場合自然治癒するものです。感染したからといって、絶対に抗菌薬を服用しなければいけないわけではありません。症状の程度などによって医師が必要がないと判断した場合は、抗菌薬が処方されないこともあります。

抗菌薬の「薬剤耐性菌」とは？適切な利用が大切！

従来の抗菌薬が効かず、薬に対して耐性を持つ細菌のことを「薬剤耐性菌」といいます。1980年以降この薬剤耐性菌が世界中で増えてきており、そのせいで感染症の予防や治療が難しくなるケースも出てきています。

薬剤耐性菌は、以下の2つの原因によって増加する可能性があります。

・必要のないときに抗菌薬を服用すること
本来は抗菌薬が必要でないとき（感染症の原因が細菌でなくウイルスである場合）に抗菌薬を服用すると、体内にもともと住んでいる細菌がその薬に対して耐性を持つ可能性が高くなります。

・処方された抗菌薬の用量用法を守らずに服用すること
抗菌薬を処方された際に、出された日数分を飲みきらなかったり、決められた服用頻度や量を守らずに服用したりしてしまうと、体内に細菌が残り、そこから耐性菌が出現する可能性が高くなります。

薬剤耐性菌を防ぐためにも、抗菌薬は必要なときにだけ適切に服用することが大切です。

抗菌薬を服用するときの注意点

薬剤耐性菌を増やさないためにも、抗菌薬は正しく服用することが大切です。抗菌薬を処方されたら、以下のポイントを守って服用するようにしましょう。

最後まで飲み切る

抗菌薬を服用している途中で症状が治まったように感じても、自己判断で途中で服用をやめてはいけません。必ず処方された日数分を全て飲み切るようにしてください。

用量用法を守る

抗菌薬は、用量用法を守って服用してください。服用するタイミングも、医師や薬剤師の指示を守りましょう。
途中で飲み忘れてしまった場合は、忘れた分をできるだけ早く服用してください。次の服用時間が迫っている場合は、1回分をスキップして次の服用時間に合わせて服用してもいい場合があります。詳しくは、処方された病院の医師や薬局の薬剤師に相談するようにしましょう。

余っているものを自己判断で服用しない

風邪などの症状が出たときに、自宅に余っていた抗菌薬を自己判断で服用してはいけません。抗菌薬は、原因や症状に合わせて処方されたものを服用することで正しく効果が発揮されます。
先にもご説明した通り、そもそも処方された抗菌薬は最後まで飲み切る必要があり、余らせてはいけませんし、別のタイミングで服用してもいけません。

子どもの健康に関する心配事はオンラインでご相談ください

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