子どもが喉を痛がるときに考えられる感染症は?

子どもの病気


子どもがかかりやすい感染症のなかには、喉の痛みが症状としてあらわれるものがいくつかあります。こちらの記事では、子どもが喉を痛がるときに考えられる感染症をご紹介します。

子どもが喉を痛がるときに考えられる感染症まとめ

ここから、子どもが喉を痛がるときに考えられる感染症の症状やホームケアのポイントなどをご紹介します。どの感染症も、保育園や学校などで流行しているときは手洗い、うがい、マスクの着用などで感染対策を行ってくださいね。

溶連菌感染症

高熱や喉の痛みがあらわれる感染症です。例年冬と春から夏にかけて流行のピークが見られます。

症状

  • 突然の発熱
  • 倦怠感
  • 喉の痛み
  • 全身に痒みのある発疹
  • 舌の赤み、ブツブツができる(イチゴ舌)
  • 首のリンパ節が腫れる


回復時に下記のような症状があらわれることがあります。

  • 手や足の指先から皮がめくれる


まれですが下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 中耳炎
  • 副鼻腔炎
  • リンパ節炎
  • 急性腎炎
  • リウマチ熱


ポイント

感染して受診すると、抗菌薬が処方されます。合併症を防ぐために、症状がおさまっても処方された薬は飲み切るようにしましょう。
高熱で汗をかいて体内の水分が奪われるため、脱水にならないようこまめに水分補給をしましょう。

ヘルパンギーナ

発熱と口内や喉に現れる発疹が特徴の感染症です。毎年5月ごろから流行り始め、6〜7月ごろに流行のピークを迎えます。

症状

  • 突然の発熱
  • 口内や喉の奥に水ぶくれ状の発疹
  • 口内や喉の発疹が潰れて生じる痛み
  • 食欲不振


まれですが下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 髄膜炎
  • 心筋炎


ポイント

口の中や喉にできた発疹が潰れて痛みが生じ、飲み込むのがつらいことから脱水症になることがあるため、こまめな水分補給を意識するようにしましょう。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスに感染することで発症します。くしゃみや咳に含まれる飛沫、ウイルスを触った手指を介した接触で感染します。

症状

  • 39℃以上の発熱
  • 喉の痛み
  • 目の充血
  • 目やに
  • 目の痛み、かゆみ
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • リンパ節の腫れ、痛み


ポイント

同じタオルや洗面器を使うことでも感染するため、家族間でも共用しないようにしましょう。原因ウイルスである「アデノウイルス」にはアルコールでの消毒が効きにくいため、石鹸を使ってこまめに手洗いをしましょう。ドアノブやおもちゃなどは次亜塩素ナトリウム消毒液での消毒が有効です。

学校や保育園に通っている場合は、主な症状がなくなって2日以上が経過するまで出席停止と学校保健安全法で定められています。判断が難しい場合は病院で相談するようにしましょう。

風邪症候群

いわゆる「かぜ」のことで、季節に関係なく発症します。原因となるウイルスの種類が多いため様々な症状があらわれます。

症状

  • 鼻水、鼻づまり
  • 咳、痰
  • 発熱
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 腹痛、下痢
  • 嘔吐


ポイント

特効薬はないため、安静にして水分と栄養をしっかり摂ることが回復への近道です。食べ物は消化が良く食べやすいものを食べさせるようにしましょう。

RSウイルス感染症

2歳までにほぼ全員が1回はかかると言われている感染症です。11〜1月ごろに流行のピークを迎えます。

症状

  • 発熱
  • 鼻水
  • 喉の痛み


生後6ヶ月未満の赤ちゃんや持病のある子どもは重症化して下記のような合併症を起こすリスクが高いといわれてます。

  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 中耳炎
  • 喘息性気管支炎


ポイント

健康な子どもが受けられるワクチンは現時点ではありませんが、ママが妊娠中に受けることでお腹の赤ちゃんに免疫がつくことが期待できるワクチンがあります。重症化リスクの高い低月齢の赤ちゃんの予防に有効です。

一般的な風邪よりも鼻水がよく出るため、ホームケアでは鼻吸引を意識的に行うようにしましょう。

生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると、無呼吸発作という呼吸を止めてしまう発作をを起こすことがあります。この発作が見られた場合、入院が必要になることがあります。

ヒトメタニューモウイルス感染症

10歳ごろまでに1回はかかる感染症です。毎年3〜6月ごろに流行のピークが見られます。

症状

  • 発熱
  • 鼻水
  • 喉の痛み


重症化すると下記のような症状があらわれることがあります。

  • ゼーゼーとした呼吸
  • 呼吸困難


下記のような合併症を引き起こすことがあります。

  • 肺炎
  • 気管支炎


ポイント

水分を十分に摂り安静に休ませると、1週間ほどで自然と回復することがほとんどです。症状が強い場合には、咳止めや解熱剤、痰を吐き出しやすくする薬が処方されることがあります。

インフルエンザ

様々な全身症状が急速にあらわれる感染症です。冬に流行することが多く、子どもだけでなく大人も感染しやすいため注意が必要です。

症状

  • 38℃以上の急な発熱
  • 鼻水
  • 喉の痛み
  • 頭痛
  • 筋肉痛、関節痛
  • 倦怠感


まれに下記の症状があらわれることもあります。

  • 腹痛、下痢
  • 嘔吐


ポイント

生後6ヶ月以降であれば予防接種を受けることができます。予防接種を受けるとインフルエンザにかかりにくくなり、かかっても重症化のリスクが低くなります。

感染した際は安静にしてこまめに水分補給することを心がけましょう。受診すると抗インフルエンザ薬が処方されることもありますが、服用しなくても1週間ほど療養すると徐々に症状が軽くなっていきます。

保育園や学校に通っている場合は、発症した後5日間を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまでは出席停止と学校保健安全法で定められています。

新型コロナウイルス感染症

喉の痛みの他に発熱や咳など風邪のような症状が見られる感染症です。保育園や学校など集団の中で感染拡大しやすいため、感染対策を徹底することが大切です。

症状

  • 発熱
  • 喉の痛み


人によっては下記のような症状があらわれることもあります。

  • 嘔吐
  • 腹痛、下痢
  • 嗅覚、味覚の異常


ポイント

子どもがコロナウイルス感染症にかかった場合は学校保健安全法で発症した後5日間を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで出席停止と定められています。
感染力が強いため、手洗いうがいに加えて、手指や不特定多数の人が触る場所のアルコール消毒などで感染対策をしましょう。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

耳の下や顎の下の腫れが特徴的な感染症です。3〜6歳でかかることが多く、保育園や幼稚園で感染が広がりやすい傾向があります。

症状

  • 突然の発熱
  • 耳のすぐ下にある耳下腺、あごのえら辺りにある顎下腺、あごにある舌下腺の腫れ、痛み
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 飲み込むときの喉の痛み
  • 食欲不振
  • 耳の痛みや違和感


頻度は高くありませんが、精巣炎、卵巣炎、ウイルス性髄膜炎などの合併症を引き起こすことがあります。

ポイント

感染予防のために任意で受けられる予防接種があります。就学前までに2回受けることが推奨されています。

感染した際は顎や頬を冷やすと痛みが和らぐことがあります。噛むときに痛みを感じることがあるため、耳下腺や顎下腺が腫れているときは柔らかいものを食べさせるようにしましょう。また唾液が分泌されるときも痛みを感じやすいため、唾液を分泌しやすい酸味のある食べ物は避けた方が良いでしょう。

保育園や学校に通っている場合は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫れが現れてから5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまでの出席停止が学校保健安全法で定められています。

子どもが喉を痛がるときの過ごし方のポイント

喉が痛むときは飲み物を飲み込むのがつらく、水分補給が疎かになることがあります。脱水にならないよう、少量ずつで良いのでいつも以上にこまめな水分補給を意識してください

食べ物も飲み込みにくいため、いつものように食事を摂れないこともあります。水分が摂れていれば数日であれば無理に食べさせる必要はありませんが、食欲がある場合はゼリーや豆腐、麺類など、喉ごしが良くて本人が食べやすいものを食べさせるようにしましょう。

前章でご紹介した感染症以外にも、空気の乾燥やアレルギーが原因で喉を痛がることもあります。

乾燥で喉の痛みが生じる場合は、加湿器を使ったりマスクを着用したりして乾燥を防ぎましょう
アレルギーの場合は、花粉やダニなど症状の原因となるものを避けたり、アレルギー薬を服用したりすることで痛みが緩和されることもあります。ただし喉の痛みに加えて息苦しさや嘔吐などアナフィラキシーが疑われる症状がある場合は、すぐに病院を受診するようにしてください。

子どもが喉を痛がるときはオンライン診療でも

子どもが喉を痛がっていても、病院に連れて行くのが大変なこともあるかと思います。免疫が落ちているときに病院に連れて行くと、他の感染症がうつる心配もありますよね。そんなときはオンライン診療アプリ「キッズドクター」が便利です。体調が優れない子どもを外に連れ出すことなく診察を受けることができ、他の感染症にかかる心配もありません。医師の判断によって薬を処方してもらうことも可能です。困ったときは利用を検討してみてくださいね。

監修者について

監修者 | 医師 六郷由佳
日本小児科学会認定小児科専門医。2012年福島県立医科大学卒業。石巻赤十字病院で初期研修を行い、東北大学病院小児科に入局。仙台市や千葉県などの二次病院、三次病院で小児科後期研修を行う。小児科専門医を取得し、宮城県立こども病院循環器科で勤務。その後家族の仕事のため海外へ。2児の母。

この記事について

執筆/編集
キッズドクターマガジン編集部

参考文献

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